今回の一連の退避作戦では、軍だけでなく外交部、合同参謀本部、警察庁の政府合同迅速対応チームが一体となって動いたようだ。安圭伯国防長官はこれを「汎政府ワンチームの連携で成し遂げた成果」と総括している。
BTSカムバックは国家安全保障の対象
3月21日、ソウル中心部の光化門広場で韓国の人気グループBTSのカムバック公演「BTSカムバックライブ:アリラン」が開催された。3年9カ月ぶりの完全体復帰となった今回の公演には、主催者推計で10万4000人が参加。世界190カ国に生中継され、Netflixの視聴者数は放送終了から24時間以内に1840万人に達し、24カ国で週間視聴1位を記録した。
公演の舞台裏では、有事に準じた規模の安全対策が展開された。行政安全部は群衆密集事故危機警報「注意」段階を発令。消防庁は平時では異例の国家消防動員令を発動し、救助隊員800人余りと救急車50台を含む装備100台超を現地投入した。国家消防動員令は災害発生時のほか、国家的消防活動が必要と消防庁長が認めた場合にも発令できる措置で、軍の動員令に相当する強力な権限行使にあたる。
テロ対応を専門とする中央119救助本部のテロ対応救助隊も先行配備され、警察は会場周辺の治安確保と対テロ活動を担当した。このような国家的な対応が功を奏して、26万人規模の人出にもかかわらず、重大事故は発生しなかった。国防日報がこうした官民一体の対応を、連日大きく報じたことは、国防当局がこの公演を安全保障上の重要事案として注視していたことを示している。
公演に至る経緯には、韓国社会を長く揺るがした兵役問題がある。2020年のビルボード1位獲得を機に、経済的貢献を根拠としたBTSメンバーの兵役免除を求める声が高まり、国会審議や政府の世論調査計画をめぐって議論が紛糾した。
最終的にメンバーは特例を求めず、22年12月の最年長ジンを皮切りに全員が入隊し、25年6月のSUGAの任務解除をもって全員の兵役が完了した。ニューヨーク・タイムズは今回の公演を「韓国ソフトパワーの核心動力の帰還」と評している。
