日本は静観している場合ではない
2月の衆院選に関し、X(旧ツイッター)上では3000件規模の中国系アカウントから高市首相や日本の政策を批判する投稿が次々に発信、拡散されていたことを新聞各紙が報じているが、実態はそれだけではない。
読売新聞(3月23日朝刊)はSNS空間における中国の対日批判を分析した特報を掲載している。高市首相の台湾有事を巡る発言を機に、Xと中国のSNS・微博(ウェイ・ボー)では、中国共産党系とみられる約60種のアカウントから約32万件の対日批判が、日本語と英語、中国語で発信されているという。
ここまで規模が拡大し、悪意を持って日本を貶めようとする中国に対し、政府は明確な抗議もせず、静観している場合ではないだろう。高市政権はインテリジェンス(情報活動)の機能強化を掲げ、7月にも「国家情報局」を発足させるとしている。であれば政府は直ちに、中国発とみられる悪質な情報発信を国内外に向けて公表し、抗議の姿勢を示すメッセージを発出し続けなければならない。
政府が毅然と対応し、その対応を国民に示していれば、「中国に強硬な発言を控えて欲しかった」などという動機で犯罪に走ってしまうケースは抑止できるだろう。
中国は3月の全人代で、発信力と影響力の向上策として「中国の言説と中国の物語(ナラティブ)の構築を加速する」ことを掲げている。中国は昨年、「抗日戦争の勝利から80年」を繰り返し、今年は「極東国際軍事裁判の開廷から80年」を主張しはじめており、何としても日本の軍国主義復活という中国のナラティブを吹聴したいのだろう。
中国外務省は4月1日、熊本に配備した自衛隊の地対艦ミサイルを取り上げ、「憲法違反だ」などと主張した。核ミサイルを保有し、軍事的威圧を繰り返す中国が何を言っているのか――と相手にしないのではなく、政府はこうした機会を巧みに捉え、中国の核ミサイル増強の実態などについて情報発信しなければならない。
中国が仕掛ける情報戦、認知戦を警戒するとともに、対応の遅れと弱さだけは絶対に見せてはならない。
