2026年4月6日(月)

家庭医の日常

2026年4月6日

研究にみるAI汎用化時代の医療<1>

 医療や介護の現場でAIがもっと広く深く利用されるようになったら、生身の人間が行うケアはどうなるのか。AI汎用化時代の幕開けに対応すべく、主要な総合医学雑誌でも相次いで重要な論文などを出版している。

 まず注目したいのは、米国医師会雑誌『JAMA』が25年10月13日に発表した『AI、健康、そして医療の現在と未来』と題する主として米国のエキスパートたちによるサミット報告書である。ここでは、AIが健康と医療サービスにもたらす変革の規模と速度は極めて大きいと指摘し、それを「機会」と「リスク」の両面から詳細に検討している。

 ごく簡単に要約すると、AIは医療のあらゆる領域を変革するポテンシャルを持つ一方、効果・安全性の評価、規制体制、データ基盤整備、利害関係者協働といった要素が不十分なままでは、期待どおりの成果が得られない可能性が高いと総括している。特に、医療の公平性や患者のアウトカムの改善を本当に実現するためには、単なる技術の普及ではなく、堅牢で一般化可能な評価と監視の仕組みが不可欠であることを強調している。

研究にみるAI汎用化時代の医療<2>

 英国の医学雑誌『ランセット』では、デジタルヘルス全般を扱う月刊誌『The Lancet Digital Health』を刊行し、AIについての研究を継続的に取り上げている。医療におけるAIの急速な利活用の展開とリスクについての議論、生成AIを医療画像に応用する展望、AIとデータの公平性と倫理に関する議論、AIの多モーダル活用(複数種類データの統合)と責任ある実装に関する論考などが掲載されている。

 英国医学雑誌『The BMJ』でも、しばしばAIをテーマにした論文が掲載されている。中でも目を引くのは、AIの医療への実装が英国のNHS(国民保健サービス)にもたらす変革に関する議論、そして、生成AIが提供する健康関連情報の質と安全性についての議論である。後者では、AI生成情報の虚偽・誤情報リスクと監視・ガバナンスの必要性を強調している。   

 『The BMJ』でも AIによる医療格差・公平性への影響についての論考を掲載していることは、これがAI汎用化時代の医療にとって重要なテーマであることを示していて注目に値する。

 この項の最後に、最近の主要な論文のテーマとその研究から得られる示唆を挙げてみる。


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