日本国内の鶏肉卸売価格は高止まり状態
日本の鶏肉産業は1970年代、米国の穀物輸出戦略の下、大手商社の主導で勃興し、欧米の育種企業グループが開発したハイブリッド鶏種の普及とともに拡大・成長を遂げてきた。80年代には飼料原料、原種鶏の輸入から、配合飼料の製造販売、種鶏孵卵、コマーシャルひなの飼育、食鳥処理・加工、最終製品の販売に至るピラミッド型のインテグレーション(垂直統合)を確立した。
プラザ合意を機に急激な円高が進行すると、タイ、中国などからの開発輸入が急増。一時は年間出荷羽数が5億羽を切る最悪の事態も想定されたが、輸入食肉をめぐる不祥事や偽装事件を経て国産回帰が進み、国内生産はそれまでの6億羽台から、種鶏の生産能力向上もあって21年に7.1億羽、24年には7.3億羽まで回復し、鶏肉は手頃な価格であることや健康志向も追い風となり、いわゆる食肉3品(牛肉、豚肉、鶏肉)のうち、最も消費量が多い品目となっている。
そんな日本国内の鶏肉卸売価格に変化が起きたのは昨年4月。取引指標となる日経加重平均相場は、モモ肉が1キログラム当たり805円(前月767円)、ムネ肉449円(同411円)に急上昇し、その後も業界関係者の誰もが予想しなかった高値推移が続き、現在もモモ肉830円台、ムネ肉490円台と高止まりの状態にある。
国産鶏肉に対する潜在的な需要に加え、円安の進行に伴う輸入鶏肉の価格上昇が背景にあるとされる。SNSなどで、価格高騰の理由に高病原性鳥インフルエンザの影響を挙げる向きもあるが、肉用鶏での国内発生は今シーズンの場合、全23事例(約552万羽)のうち5事例(約33.7万羽)に止まり、その影響は年間7億羽を超える全国出荷羽数から見て極めて軽微といえる。
ブラジルでの〝変動〟
世界最大の鶏肉輸出国であるブラジルでは、昨年5月15日に最南部に位置するリオグランデ・ド・スル州モンテネグロ市の肉用種鶏農場1カ所で、商業施設では初の高病原性鳥インフルエンザが発生。中国、欧州連合(EU)、メキシコ、韓国など24カ国・地域がブラジル全土から、サウジアラビア、トルコ、英国、ロシアなど17カ国が貿易制限措置に地域主義の考え方を適用し、リオグランデ・ド・スル州から(日本とアラブ首長国連邦(UAE)はモンテネグロ市から)の家きん肉の輸入を一時停止した。
その後も7月にかけて自らが消費するために育てる裏庭家きんで数例の発生が確認されているが、農業畜産省(MAPA)は「自家消費を目的とした裏庭家きんの症例であり、家きん製品の国際貿易に影響を与えるものではない」とし、政府・産業界を挙げて早期の事態収拾を図った。7月半ばにMAPAが商業用家きん飼養施設における鳥インフルエンザの撲滅と清浄化を宣言すると、多くの国や地域が輸入制限の解除に動き出した。
日本は11月14日に輸入停止措置を解除したが、12月23日にマットグロッソ州クイアバ市の家きん飼養施設で新たな発生が確認されたことから、翌24日に発生市からの家きん肉等について再び輸入停止措置を講じている。

