2026年4月15日(水)

Wedge REPORT

2026年4月15日

 農畜産業振興機構によると、ブラジルの25年1~9月における鶏処理羽数は49億7509万羽(前年同期比2.2%増)、鶏肉生産量は1064万トン(同2.9%増)と、いずれも過去最大を記録した前年をわずかに上回るペースで推移。25年の鶏肉輸出量は489万2083トン(前年比0.2%増)と前年並みを維持した。

 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、26年2月23日時点の鶏肉卸売価格(サンパウロ州)は、1キログラム当たり前年同日比14.7%安の7.31レアル(223円:1レアル=30.45円)。25年の通年で見ると、年初の数カ月間は堅調な内需や外需に支えられ上昇傾向で推移していたが、5月に高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されたことで輸出予定だった製品の一部が国内市場に振り向けられ、3カ月にわたって下落が続いた。

 その後は輸出先の貿易制限措置が解除されるにつれて回復し、最終的に年間平均価格は同8.07レアル(246円、前年比7.5%高)と、前年をかなりの程度上回った。卸売価格は当面、高値で推移するとみられているが、ブラジルの場合、日本とは逆に5~7月が渡り鳥の飛来時期となるため、商業用家きんで鳥インフルエンザが再発する事態となれば世界の鶏肉需給への影響は小さくないと思われる。

どう安定供給を果たすのか

 生産・処理加工、流通・小売業者で組織する日本食鳥協会の佐藤実会長は、3月6日に開いた理事会で「相場水準が大きく変わって1年が経とうとしているが、まだ荷受や小売は慣れていないように見える。依然として消費は順調で、モモ肉も順調だが、ムネ肉は昨年秋から消化不良を起こしている。市況と需給と我々の知恵が追いかけ合っている状況で,モモ肉が余って大変だったのが、今度はムネ肉が余っており、さまざまな手を尽くして消費拡大に努めたい」と語っている。

 国内生産の主要な担い手は時代とともに移り変わっている。現在は北東北、南九州を拠点としてひなの生産から飼料供給、飼育、食鳥処理・加工、販売まで全てを担う独立系のローカルインテグレーター主導で業界の再編が進みつつある。

 鶏肉相場が高値で推移する一方、苦戦を余儀なくされているのは業務・加工用に原料肉を供給する荷受・専門小売業者と、地鶏などの高付加価値商品を展開する中小の生産加工会社だ。マーケットの旺盛な需要に対応するには、種鶏孵卵場、食鳥処理場を国際標準の規模と設備に更新しなければならず、生産農場の確保も喫緊の課題である。

 ここ数年の高相場によって過去最高の収益を上げたとされるインテグレーター各社だが、飼料・生産資材費、人件費、燃料・包装資材・物流費などあらゆるコストが上昇、または高止まりする中で、新たに数十億、数百億円に上る莫大な設備投資を行うには年間1億羽規模のスケールメリットを持つ必要があると、判断しているようだ。大手インテグレーターの中には、国内の生産拡大と併せて、ベトナムやミャンマー、インドネシアなど海外での鶏肉生産事業への投資に意欲的な会社もある。

 しかし、生産現場では委託農家の高齢化、後継者不足が深刻化している。鶏舎管理業務を自動走行ロボットで代替する試みもあるが、鶏卵とは違い食肉用のブロイラーは平飼いのため機械を傷つけてしまう傾向もあり、実用化にはまだ時間がかかりそうだ。

 問題は、養鶏部門をどのセクターが担うのか、誰が鶏を飼育するのかである。底堅い需要がある今こそ、生産現場の転換も必要となってくるだろう。

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