また、米中央軍はほぼ連日、戦況についてブリーフしているが、2月28日に攻撃を開始して、それから24時間のうちにイランの指揮命令センター、革命防衛隊司令部、防空システム、弾道ミサイルサイト、潜水艦、軍事通信能力などを含む、1000を超えるターゲットを攻撃したとしている。
あらゆる情報を収集し分析
このような短期間における大量かつ正確な攻撃は、米国によるAI DSSの活用があって可能となっている。今次戦争で米軍は、パランティア社の「Maven Smart」(これにはAnthropic社のClaude AIも統合されている)を用いて監視データを分析し、標的リストを作成してその優先順位付けを行っている。
今般のハメネイ師ほかの暗殺は、いわゆる権威主義国家の指導者たちにとっては背筋の凍る思いであったのではないだろうか。ただし、米国やイスラエルがもつこのような力は、いずれは時間を経て他の国にも拡散していくだろう。あるいは中国などはすでにこれらに近い能力をもっているかもしれない。
ワシントン・ポスト紙のグレッグ・ミラー調査報道特派員による3月30日付け解説記事は「侵入可能なものはすべて侵入を試みた」というイスラエル軍高官の発言を紹介している。ある人物を攻撃目標として設定した場合には、その行動を日常的に監視し、当該人物の生活、モノの考え方、人的関係、趣味、強みと弱み等々、あらゆる情報を収集した上でデータ処理し、攻撃側が行動を起こす上で最も適切な場所とタイミングをAIが教えてくれることになる。
日本は、以上のような情報が最も手に入りやすい国の一つであろう。世界広しといえども、一国の最高指導者の日程を一般の報道などで知ることのできる、非常に珍しい国だ。
わが国としても、今日の戦争においてAIがどれほど中核的な役割を果たしているかを十分に調査・分析した上で、作戦におけるAI導入と情報保全の強化を一層進める必要がある。
