AI DSSに内在する構造的な問題
同時にもう一つ、AI導入で留意すべきは、人間のかかわり方だ。今般のイラン戦争では、上記のように短期間で膨大かつ正確な攻撃が行われたと言われているが、攻撃が完全に軍事施設等に限定されていた訳ではない。
すでに約2000人に及ぶ非戦闘員が死亡し、学校や病院などの民間施設が被害にあっていると、複数のメディアが報じている。これら非戦闘員の被害に、上記AI DSSはどのように関わっているだろうか。
標的の選定に関するAIの判断が間違っていたのか、インプットした情報が間違っていたのか、あるいはAIに対する指示において軍事施設の攻撃に伴う民間施設に対する副次的被害(民間施設が隣接する場合など)の許容指数を大きく設定したのか、等々、様々な可能性が考えられ、実際のところは不明だ。
ただ、少なくとも言えることは、AI DSSに内在する構造的な問題を無視してはならないということだ。先に触れたワシントン・ポスト紙の記事は、「暗殺への依存と標的範囲の拡大という悪循環」を指摘する専門家の意見を紹介している。ここにはAIと人間の意思・判断との関係のあり方という、本質的な問題が関わっている。
