2026年4月27日(月)

Wedge OPINION

2026年4月27日

 トルコは、イランからの反撃の優先的なターゲットとはなっていない。イラン、アラブ湾岸諸国、米国とも独自の関係性を有することから、米・イスラエルの対イラン戦争で仲介役として動ける位置取りにある。トルコは、ロシアのウクライナ侵攻を巡る直接協議の舞台に選ばれたこともあるなど、外交における「戦略的自律」を旨とする同国の存在感は国際場裏で強まっている。

イランの隣国で起こる
もう一つの戦争の余波

 そのトルコが仲介する意欲を示すのが、2月28日直前に始まったアフガニスタン・パキスタン戦争である。イラン戦争の影に隠れる同戦争だが、パキスタン軍機によるアフガニスタンの首都カブールへの空爆が行われたほか、麻薬中毒患者更生支援センターへの爆撃があり、民間人死者400人以上(タリバン発表)を出すなど、事態は沈静化していない。

 筆者は昨年9月に同センターを訪問したことがある。内務省の管轄する施設だが、麻薬中毒患者の療養施設であることを確認しており、パキスタンが主張するような軍事施設ではなかった。

 アフガニスタン・パキスタン戦争勃発を受けて、サウジアラビアとトルコが南西アジアで存在感を増す可能性もある。アフガニスタンとパキスタンは、パキスタン国内で治安事案を引き起こすテロ組織への対応を巡って対立しており、仲介役を必要としている。両国に強い影響力を持つ中国や、タリバンを政府承認した唯一の国であるロシアなどの大国が、仲介役を務めるかもしれない。

 同時に、パキスタンと「戦略的相互防衛協定」を締結したサウジアラビアは、タリバンとの良好な関係も有しており、橋渡しをする能力がある。また、多くのアラブ湾岸諸国がイラン戦線に気を取られる中、比較的余力のあるトルコが、その大役を引き受けるかもしれない。

 つまり、二つの戦争を受けて、南西アジア地域において、サウジアラビアやトルコが存在感を強める可能性がある。その延長線上で、逆にパキスタンが、米・イスラエルとイランとの間での仲介に意欲を示しているとの報道もある(26年3月24日付『フィナンシャル・タイムズ』紙)。

 パキスタンはイランの隣国として友好関係を持つほか、米国との関係も発展させてきた。25年、トランプ大統領は印パ対立の仲介役を買って出て、パキスタンのアシム・ムニール陸軍元帥とシャバズ・シャリーフ首相を各々、米国に招待し良好な関係をアピールした。米・イランとパイプを有するパキスタンが、中東における存在感を増すかもしれない。

 なお、内陸国アフガニスタンは、東方の国境付近でパキスタンと戦闘を続け、西方では隣接するイランが米・イスラエルと戦闘を始めたこともあり、北部で隣接する中央アジア諸国との関係を深めるなどの変化を見せている。米軍撤退後、ロシアや中国がタリバンとの関係構築に動いており、アフガニスタンの今後の立場にも注目が必要だ。


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