2026年4月18日(土)

トランプ2.0

2026年4月18日

ホルムズ海峡開放とイランの核開発放棄――
米国民はどちらを優先しているのか?

 バンスはイランと交渉が物別れに終わると、記者会見を開き、「どの点で譲歩が可能か、どの点で譲歩できないのかレッドライン(超えてはならない一線)を明確にした」と述べた。そのうえで、核兵器開発を諦めるという確約をイランからとれなかったと言い置いて、交渉の地イスラマバードを離れた。

 トランプは、今回のイランとの戦争で核兵器の開発阻止を「大義名分」として掲げてきた。FOXニュースのインタビューでも、トランプはイランが核兵器を持てば、まずイスラエルに対して使用すると述べ、最終的に核兵器で米国を攻撃すると語った(2026年4月12日現地東部夏時間)。

 筆者は、今回の戦争について米国在住の共和・民主両党の支持者にメールで質問をしたが、そのうちの1人、中西部インディアナ州インディアナポリス在住のMAGAの答えは、トランプのイランに対する軍事介入には反対であった。また、イランの石油輸出拠点であるカーグ島への米兵派遣に関しても同じく反対であった。

 しかし、イランの核兵器保有に関しては、同国が開発すればそれを使用する可能性があることに懸念を示し、受け入れられないと回答した。新たな戦争と外国政府への内政干渉および体制転換に反対するMAGAの中でも、彼のようにイランの核兵器保有は容認できないという立場を示す者が少なくない。それは、MAGAの対イラン戦争への高支持率につながっている。

 では、米国民はイランの核開発阻止とホルムズ海峡開放のどちらを重視しているのか。米CBSニュースと調査会社ユーガブによる全国共同世論調査(2026年4月8~10日実施)をみてみよう。

 結果を先取りして言えば、ホルムズ海峡開放を優先度第1位に挙げた。しかし、イランの核開発阻止は第2ではなかった。「イランが他国を脅すことを止めさせる」と同率で「イランによる核開発のプログラムを永久に止めさせる」が3位であった。米国民が第2に選んだのは、「イラン国民の安全と自由」である。

 また、同調査では、上の各項目でその遂行の程度について米国民の判断を尋ねている。第1位であった「ホルムズ海峡の開放と石油アクセス」について9%が「すでに遂行した」、57%が「まだ遂行していない」、34%が「判断するのはまだ早い」と回答した。次点の「イラン国民の安全と自由」に関しては、6%が「すでに遂行した」、58%が「まだ遂行していない」、36%が「判断するのはまだ早い」と答えた。このように約6割が、イラン国民が安全と自由を手に入れていないと捉えている。

 大量のイラン国民が殺害されたとされる反政府運動が起きたとき、トランプは「助けに向かっている(HELP IS ON ITS WAY)」と自身のSNS(交流サイト)に、すべて大文字で投稿したが、支援に向かわなかった。そのときの運動を起こした人々の怒りや失望は、メディアを通じて報道された。

 一方、「核開発プログラムの永久阻止」については、11 %が「すでに遂行した」、49%が「まだ遂行していない」、40%が「判断するのはまだ早い」と回答した。「ホルムズ海峡の開放と石油アクセス」および「イラン国民の安全と自由」と「遂行」の数字を比較すると、高い数字が出ている。

 トランプは昨年6月に限定的にイラン攻撃を実施した際、イランの核施設を完全に破壊したと繰り返し強調した。米国民の中には、核開発の問題はすでに解決できたと認識している国民がいるのだ。しかし、トランプは今回のイランとの交渉で核開発放棄の確約を求めており、自身が前回と異なる発言をしているのは明らかだ。


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