来年は節目の年に
米シエナ グローバル・セールス・エンジニアリング担当バイス・プレジデント
ラルフ・ロドシャット氏
――7年目を迎えたIOWNグローバルフォーラムの活動をどう評価しますか。
「私自身がフォーラムに参加したのは3年近く前ですが、技術的な面でいえば昨年、『オープンAPNアーキテクチャー(OAA)』の第3版をまとめることができました。光ネットワークを展開するための設計図です。
APNを単独のネットワークではなく、効率性を損なわずに複数のAPNを相互接続できるようにするのが目的です。APNに対する認知度も向上しており、シエナのビジネスにとっても有益となっています」
――米ダラスで会合が開かれ、北米でもIOWNの認知度が上がりましたね。
「米国では毎年春にロサンゼルスで『OFC(Optical Fiber Communication Conference=光ファイバー通信会議)』という国際会議と展示会が開催されていますが、今年はテキサス大学ダラス校のオープンラボを活用し、複数のベンダーの機器を連携させ、エンドツーエンド(端から端まで)のAPN接続を実現するデモを行いました。
光ファイバー大手のコーニングは生産能力の7割を米国市場向けにあてており、グーグルやメタなどのハイパースケーラーも自前の光ネットワークを構築しています。そこでの接続は基本的にAPNと同じような方法がとられています」
――シエナは光通信システム市場で世界最大規模を誇っています。
「我々は光通信システムのすべての領域をカバーしており、データセンター内部への展開も始めています。昨年9月にはデータセンター内の光通信に特化した「Nubis Communications(ヌビス・コミュニケーションズ)という会社も買収しました。
特に注力しているのはハイパースケーラー間の超高密度接続です。AIを活用するにはAPNが必要であり、APNはAIゴールドラッシュ時代のつるはしとシャベルに相当するといえるでしょう」
――IOWNグローバルフォーラムにとって今後の課題は。
「来年は重要な年になると思います。技術の進展が非常に速く、この機にAPNの考え方を採用するのか、各社が独自路線を歩むのか分岐点になるでしょう。米国のハイパースケーラーは外部組織に頼らず自前でシステムを構築できる力を持っているからです。マイクロソフトなどはこのフォーラムに参加して様子を見ています」
――話題の「フィジカルAI」とIOWNとの関係はどう見ていますか。
「データセンター間のトラフィックは指数関数的に増えていますが。フィジカルAIにどれだけの帯域幅が必要かはまだわかっていません。
よい例が『Waymo(ウェイモ)』の自動運転車です。リアルタイムの判断は車内のプロセッサーが自律的に行っており、無線ネットワークには頼っていません。AIモデルの学習には大量の通信を必要としますが、ユーザーにサービスする推論にはそれほど多くの通信は必要としないでしょう」

