2026年5月1日(金)

勝負の分かれ目

2026年5月1日

PPVがもたらすファイトマネー

 井上選手にとっては、24年5月以来となる東京ドームでの興行で、チケットは最も高いアリーナSRS席が33万円に設定された。LeminoのPPV方式による配信は、事前販売が6050円、当日販売は7150円。Leminoだけでなく、地上波の報道ステーションなどが直前に特集を放送するなど、世間の関心も高まっている。

 インターネットサイト「THE ANSWER」によれば、興行のプロモーターであり、井上選手が所属するジムの大橋秀行会長は「(ファイトマネーは)2人とも過去最高額です」と明かし、「(元世界王者の)僕なんかの時と状況が全く違う。いろんな意見があると思いますが、選手のためを思えば、今ほどいい時代はないと思います。選手ファーストで考えたら、今が一番ですね」とPPV方式がファイトマネーにもたらす恩恵を語った。

 PPVが浸透していったのは、80年代からの米国で、有料のケーブルテレビが本格普及したことによるものだった。

 地上波中継は、試合中継を行うテレビ局からの「放映権料」やチケット収入などからファイトマネーが支払われるため、ファイトマネーに「上限」があるのに対し、PPVは視聴者が増えるほど歩合が加算されていく。人気選手や注目カードになるほど、配信チケットの売れ行きが伸び、ファイトマネーに反映されるシステムとなっている。

 日刊スポーツは、15年5月の世界ウエルター級王座統一戦で、史上最多6階級制覇のWBO王者マニー・パッキャオを判定で下したWBAスーパー王者だったメイウェザーが、ファイトマネー1億2000万ドル(当時のレートで約144億円)に、PPVの歩合を加算した2億3000万ドル(同約276億円)を手にした、と報じている。

地上波中継からの大きな変化

 日本国内では、長らくボクシングの世界戦が地上波の「ドル箱」と呼ばれてきた。

 ビデオリサーチによれば62年12月3日の視聴率調査開始以降、全局高世帯視聴率番組50(関東地区)には、いずれも60年代のボクシングの世界戦が7つランクインしており、番組平均世帯視聴率(%)は63.7%に達している。20年代には動画配信サービスへ中継の主戦場が映っていくが、09年でも地上波中継された世界戦は40%を超えていた。

 また、今回の井上選手と中谷選手のように日本人同士による注目カードといえば、往年のボクシングファンには、94年12月に行われたWBCバンタム級王者・薬師寺保栄選手と暫定王者の辰吉丈一郎選手による初の日本人の世界王者同士による統一戦が記憶にあるだろう。WBC本部のあるメキシコでの入札に委ねられた興行権は、当時破格といえる3億4200万円で落札されたことで、注目を大きくした。


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