両者の意地とプライドがぶつかり、壮絶な打ち合いとなった一戦は、地上波で全国に中継され、平均が関東39.4%、関西43.8%、名古屋は52.2%などとなり、辰吉選手のファイトマネーは1億円を超えたと報じられている。
しかし、PPV時代の日本の”看板王者“である現在の井上選手のファイトマネーは次元が違う。スポーツニッポンは、米メディアの「The Sporting News」が25年5月に米ラスベガスでの一戦が推定800万ドル(約11億5000万円)だったと伝えたことを紹介し、24年の東京ドームでの一戦での推定10億円を更新したと報じている。
大橋会長が明かしたように、今回が過去最高額ということになれば、これらの金額を上回るとみられ、大橋会長が「夢のある世界になった」と実感を込めるのも納得がいく。同時に、前売りで6000円を超えても視聴したいと思わせるだけの注目カードという高いニーズがあることを裏付けている。両者の実力も、米老舗専門誌「ザ・リング」による全階級を通じたプロボクサー最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で、井上選手が2位、中谷選手も6位と証明済みだ。
スポーツ中継の転換点にも
26年は野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も地上波中継が初めてなくなり、米動画配信大手ネットフリックスが国内で独占生配信を行った。有料会員になる必要があったが、公式サイトによれば、延べ3140万人の視聴者を集めた。令和の時代に入り、スポーツ中継のライブ価値に対する金銭的対価が日本でも受け入れられつつある状況を物語る。
一方、報道によれば、松本洋平文部科学相は4月24日の閣議後の記者会見で、WBCで地上波中継がなかったことを受け、主催者に対し「より多くの国民が大会を見ることができるよう今後の配慮をお願いした」と明らかにした。今後の五輪でも同様の事態が起こりうることを懸念し、国際オリンピック委員会(IOC)にも書簡を送ったと説明。5月にもスポーツ中継に関する有識者会議を、総務省と合同で設置するという。
英国などの海外では、国民的な関心の高いスポーツイベントを無料で視聴できるように法律で「ユニバーサル・アクセス権」が定められている。
スポーツ中継ビジネスの在り方を巡っても、26年は歴史的な転換期と呼ばれるときが来てもおかしくはない。
