こうした枠組みが重要だったのは、中台関係は「いまだに終わっていない内戦」という中国共産党の歴史解釈を広めるためには不可欠だからで、中国と台湾という二つの国の関係を内政問題として描ける唯一の物語と言える。鄭はこれに同調したが、それによってこの物語を広める片棒を担いでしまった。鄭に台湾を主権国家として擁護する意図があったとしても、彼女はこのことで台湾の有権者の審判を受けることになるだろう。
一方、習が語る台湾と台湾の人々の話は正に歴史を無視したものだ。彼が語る台湾は常に中国の一部であり、人々は中国人である。これは台湾人を虐げた外国政府の一つは当の国民党政府だったことを忘れた場合にのみ真実と言える。
習の説明は中国共産党が過去数十年の間に一方的に作り出したものだ。習が、選挙で選ばれた台湾政府と関与したがらないのは、そうした政府は彼の歴史無視の説明とは合致しないからだった。今回の会談は確かに歴史的なものだったが、それは鄭や習が意図した意味においてではなかった。
我々は皆平和を望んでいるが、鄭が進む道は習が勝手に改ざんできる歴史と未来の中に台湾を閉じ込めるものだ。
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米国支援への歯止めか
台湾野党(国民党)主席の鄭麗文は、中国を訪問し中国共産党の幹部らと会談した。この10年ぶりの中国共産党と台湾国民党との対話と会談について、Taipei Times社説は、台湾国民党の鄭一行が、「習近平主席の友好ムード演出」の対象になったと批判した。もっともな批判である。
今回の鄭の中国訪問では、北京、南京などをまわり、南京では、孫文の墓に詣でたという。これは「中華民国」(台湾)の出発点となるものであり、台湾にとっては歴史的意味がある場所と言える。
