2026年5月18日(月)

World Energy Watch

2026年5月18日

 年末以降の減少の起点となったのが、冒頭の通り、トランプ大統領初の直接制裁の発動であるRosneftおよびLUKOILのSDN指定だった。中国は制裁発動を受けて、26年2月をピーク(日量192万バレル)に買い控えに入り、インドは11月の制裁実装をピーク(日量183万バレル)に調達を減少し始めた。

ホルムズ海峡〝封鎖〟で転換

 そのような中、26年2月28日を起点とする米国・イスラエルによる対イラン戦争の勃発とホルムズ海峡の事実上の閉鎖、そして原油価格の急高騰を受けて、3月6日にはベッセント財務長官が既に海上にあるロシア産原油を積載したタンカーについて、インドの精製業者による購入を30日間免除すると発表した。その後、12日には対象をインドから世界に拡大する一般許認可(General License)が発行され、その期間は4月11日までの1カ月間と設定された。

 さらに4月11日に期限を迎えるが、米国政府は当初延長の意向を示さず、15日にはベッセント財務長官もその旨を表明する。しかし、17日には方針転換し、5月16日までさらに1カ月間、ロシア産原油の購入を認めることとなった。

 ロシア産原油はこの発表時点で海上に約1.2億バレルが運搬中の状態とみられており、インドをはじめロシア産原油を購入したい国が爆買いを開始すると予想され、ホルムズ海峡封鎖で加熱する国際原油市場が少しでも沈静化することも期待されていた。しかし、図2下図の通り、中国、インドの4月現在のロシア産原油の海上フローを見ると、インドや中国が2月に比べて3月以降大きく輸入を伸ばしているわけではない。インドだけが2月と3月を比較すると90%増の輸入量となっているが、4月には減少している。

 中国も2月比では4月は25%と減少を記録している。他方、急速に増加しているのは新たなロシア産原油の買い手国である。中東からの原油途絶を受けて、3月にはこれまで輸出国ではなかったフィリピン(日量5万バレル)や輸入実績は少なった国々(アゼルバイジャン、ブルネイ、シリア、キューバ、エジプトおよびジョージア)が調達した結果、海上輸出量は日量439万バレルとウクライナ侵攻後最高を記録したのだった。

 注目されるのは、中国やインドはロシアの「友好国」だから、ロシア産原油を買い支えてきたというわけではなく、欧米制裁によってディスカウントされたロシア産原油を調達してきたという事実である。ロシアによるウクライナ侵攻後、欧米制裁によりロシア産原油は国際原油価格に対し、バレル当たり平均約20ドルの割引がなされ、破格の原油調達が可能という状況が生まれてきたという経済的な動機付けがあった。


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