最悪のシナリオ『イスラム共和国体制維持によるイランの北朝鮮化』
イラン情勢の先行きは混沌としているが、イランが無条件降伏して民主的政権が成立する可能性は小さいだろう。
玉虫色の合意をして、停戦に持ち込むというシナリオが現実的ではないか。筆者が懸念するのは停戦後にイスラム共和国体制という国体護持のため、革命防衛隊が治安維持を強化することだ。
今年初頭の反政府運動が急速に鎮静化し再発しなかった背景には、中国から導入した最新AI技術を駆使した監視シムテムがあるとされる。監視カメラに映った群衆映像から瞬時に人物を特定する技術である。中国は14億人を常時監視する治安維持システムを構築した。10年以上も逃亡していた殺人犯が、大都市の交差点を歩いているときに、監視カメラが群衆の中から殺人犯を特定して逮捕した事例もある。また中国はインターネットや電話通話も監視するシステムもイランに提供しているという。
こうした最新監視技術をイラン当局がデモの鎮圧に活用してデモのリーダーや参加者を一挙大量拘束したので、人々は恐くてデモに参加できなくなったのだ。
停戦後もイランの経済的苦境は続くであろう。インフラや生産設備が被害を受けており、戦後復興に何年も要するであろう。停滞する経済のなかで民衆の不満を抑え体制を維持するために、イラン当局は国民への監視体制をいっそう強化するであろう。中国・ロシアの後ろ盾で体制国家を維持するというイランの“北朝鮮化”を憂慮する。
次回は90年代の筆者のイランでのビジネスの体験と見聞をもとにイランの戦後復興ビジネスについて考えてみたい。
第3回につづく
