2026年5月27日(水)

野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2026年5月27日

 これに対して、台湾は相当に緊張したはずだ。頼清徳総統自らがFacebookで「台湾は地域の安定の擁護者であり、中国が地域を不安定化させている根源にある。中華民国の現状を守るので、いわゆる台湾独立の問題は存在しない」と否定するコメントを出さざるを得なかった。台湾の国名は中華民国ですでに独立した主権国家であるゆえに独立問題はない、というのが民進党の一貫した主張である。

頼清徳総統がFacebookに投稿した日米首脳会談に関するコメント 写真を拡大

武器売却はしばらく棚上げか

 またトランプ大統領は「(台湾)政策に変更はない」と言いながら、武器売却については微妙な言い回しに終始し、売却をしばらく「留保する」と述べている。もともと米国は台湾への武器売却について、いわゆる「六つの保証(対台武器売却停止時期の設定に同意せず、対台武器売却について中国と協議せず、中台の仲介はせず、台湾関係法の修正をせず、台湾の主権に関する米国の立場を修正せず、中国との交渉に入るよう台湾に圧力をかけず)」で、事前協議を行わないと言明していた。

 ところが、トランプ大統領はこの件についても習近平国家主席と話し合いをしたと認め、「これは我々にとって非常に良い交渉材料です」と述べている。現在、米国政府は、議会が認めた140億ドルの台湾への武器売却を承認するかどうかを検討している。早急な履行を台湾側は求めていたが、トランプ大統領の「留保」の言葉を見る限り、しばらくは棚上げされる可能性がある。

 彼の発言は、中国との事前協議を行い、中台の仲介をするという何重もの違反事項が出てきてしまう。「六つの保証」に法的拘束力はないが、1978年の米台断交以来守られてきた約束でもあり、米台間の信頼に深く関わる問題だ。

 一方、トランプ大統領は、台湾側とも話し合うと述べた。もし頼清徳総統とトランプ大統領が直接対話をするなら、それはそれで中国にとって信じ難い「暴挙」になるだろう。


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