トランプは、習近平のトゥキディデス発言に対し、何も反応を示さなかったと報じられているが、これは良い兆候だと期待したい。トランプと共に北京を訪問中のルビオ国務長官はNBCに対し、「彼らは常に台湾問題を自分たちの立場で持ち出すが、我々は常に立場を明確にし、他の話題に移る」と述べた。さらに、中国が武力で台湾を併合すれば「とんでもない過ち」になると付け加えた。
トランプにとっての試練は、長らく待たれていた台湾への米国製武器売却を承認するかどうかだ。習近平は売却に拒否権を行使したいと考えているが、台湾は30年までに国防費を経済の5%に引き上げるという目標達成に向けて、抑止力として米国製武器を必要としている。
トゥキディデスの「罠」になぞらえると、習近平が中国を新たな「中華帝国」へと成長させ、他国を属国にできると本気で信じているというリスクがある。中国経済は雇用を輸出に過度に依存し、人口の高齢化が急速に進み、軍隊は数十年間実戦を経験していない。もし習近平が、中国が戦争のリスクを冒すほど米国が衰退していると考えるなら、自らの罠に陥るかもしれない。
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変わりつつある米国の「戦略的曖昧性」
習近平は過去に「トゥキディデスの罠」という概念を何度か使っているが、これまでは中国の台頭は米国にとり脅威ではなく、この概念には妥当しないという説明の脈絡であった。が、今回は異なった。
首脳会談で「トゥキディデスの罠」を持ち出したのは、米中両国は衝突を避け超大国G2として折り合っていく必要があり、台湾問題に米国が干渉すべきではないと警告することにあった。この社説は、中国は台湾を武力によって統一する場合にも米国は介入しないことに賭けるリスクがあると懸念している。
中国が台湾に対し武力行使に出た場合の米国の対応は、敢えて明らかにしない戦略的曖昧性が基本で、これにより中国に対しては武力行使の牽制となり、台湾に対しては米国の支援を期待して独立宣言を出すような動きを抑止する役割を長年果たして来た。同時に、台湾基本法に基づく台湾への武器供与は、台湾の対中抑止力を高め、米国の実質的な台湾支援の象徴として重要なものである。中国は、今回、台湾問題の「適切な処理」として米国が議会の承認も得た140億ドル相当の武器輸出を止めるよう強く要求したと推測される。
