2026年6月4日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月4日

 米国は、中間選挙を控え、米中首脳会談では中国からの経済的利益やイラン問題での協力を得ること等を期待していただろう。昨年の中国との関税戦争ではレアアース等で弱点を突かれ休戦状態となったが、その後トランプは、中国とは経済面では折り合い関係を安定化させることを優先することにしたようで、この点は中国も望むところであった。

 いずれにせよ、トランプは、台湾に対し供与を約束し、 1月に米国議会の承認も得た140億ドルの追加武器売却について決断をしなければならない。トランプは、帰国の特別機内で、台湾への武器売却は中国との良い交渉材料であり、台湾指導者とも話をする必要がある等と述べ、その発言は揺れている。

 台湾への武器供与は、米国が当時の中華民国との防衛協定を破棄した際の代償措置として制定された台湾関係法に基づき、中国による武力攻撃に対する抑止としての効果があり、レーガン政権において台湾への武器供与について中国とは協議しないことを確約している。

 トランプが武器売却を何の交渉材料と捉えているのか不明だが、これが米国からの輸入の増加などの短期的利益の交渉材料と考えているとすれば、従来の米国の台湾政策を大きく変える重大な問題となる。

習近平の訪米で何が話されるか

 トランプは9月に習近平を米国に招待した。これは中間選挙を前に、選挙に有利な取引を期待してのことだろうが、中国がその見返りにトランプの台湾問題に対する具体的な譲歩を求める可能性も高い。

 国内では関税措置を憲法違反と判断され、トランプにとって台湾問題が中国に対するカードとなっている中、トランプの対応が憂慮される。中国が持ち出した「建設的戦略的安定関係」は、協力関係を軸に相違点を管理していくとの発想であるが、相手国の核心的利益と重大な懸念の尊重が前提である。

 中国のペースに乗せられることなく、東アジアの安全保障環境の核ともなる米国の台湾政策が揺らぐことの無いよう米国世論がトランプに賢明な選択を選ばせることを祈りたい。

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