今回の訪中の際に米国は習近平主席に9月24日の訪米を招請した。その後も11月には深圳アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席でトランプ大統領は訪中し、12月にはマイアミで行われる米国主催の主要20カ国・地域(G20)出席で、習近平主席は再度訪米する予定だ。
年末までの7カ月間で、後3回米中首脳会談が行われるのだ。残念ながら、米国がウクライナ和平実現のために割ける時間と人的リソースは大きく限られることにならざるを得ない。
誰が交渉役を担うのか
一方、ウクライナ戦争終結のためには、ロシアの再侵攻を抑止できる程度に強力な安全保障措置をウクライナに与えることが必須であるが、そのためには米国の関与が欠かせない。対中関係にかかりっきりになる米国といかなる形でこれを調整するかが大きな課題だが、その上で、6月15日~17日にフランスのエビアンで行われる主要7カ国(G7)首脳会合は重要な機会になるだろう。それまでに欧州としてどのような体制とタイムラインでロシアと協議を進めていくかの腰を定める必要があるが、残された時間は余り多くない。
報道では、プーチン大統領は、欧州との対話の相手としてドイツのシュレーダー元首相が望ましいと示唆した由だが、欧州側では否定的な見解が多い。シュレーダーはロシアの国営企業に関与しプーチン氏と緊密な関係を築いているとみられているからだ。
EUのカラス外交安全保障上級代表は記者団に、シュレーダー氏の起用をプーチンが望んでいるのは、「交渉のテーブルの両側に座ることになる」からだと述べ、辛辣だ。他には、ドイツのメルケル元首相や米国主導の平和評議会にも関与している英国のブレア元首相らが考えられるが、まずはこの人選について早急に固める必要があるだろう。
その上で、本来はウクライナ戦争終結には、ロシアの生命維持装置になっている中国との交渉も欠かせないが、これを米国が米中関係のアジェンダに載せるつもりがあるかどうかも重要な鍵になる。これだけ目まぐるしく変わる国際情勢の中で、「主役」の座を維持するのは大変なのだ。

