本田さんは会見で経緯を次のように振り返った。
「自分の中では20年現役生活をやってきて、楽しいことも、苦しいことも、すべてスケートだったので、引退するときに二度とこの競技に戻ってこないと思うほど、自分の中でやりきった。昌磨くんのスケートの完璧なキャリアに自分が入ることの勇気、覚悟を持った上でやらなければいけないとわかっていましたし、自分自身も『オリンピックを目指したいです』という夢を伝える怖さも現役時代に理解していた。もちろんワクワクもありましたが、覚悟を持てるまで少し時間が必要でした」
そんな2人による演技は、すでに宇野さんがプロデュースを手掛けた25年7月のアイスショー「Ice Brave」では、2人による演技が披露され、「しょまりん」の愛称も誕生している。26年シーズンの「Ice Brave」公式サイトには、「新たなシーズンの軸となるのは、宇野昌磨と本田真凜によるアイスダンスプログラム」とうたわれており、今後の展開が注目される。
日本フィギュア界唯一の〝弱点〟
フィギュアスケートは男女シングルとペア、アイスダンスの4種目で実施される。
ミラノ・コルティナ五輪では、男子の鍵山優真選手が2大会連続の銀メダル、初出場の佐藤駿選手が銅メダルを獲得し、女子も坂本花織さんが銀メダル、中井亜美選手が銅メダルをそれぞれ獲得し、ペアでは三浦さん・木原さん組が日本勢初の金メダルに輝いた。
一方のアイスダンスは6大会ぶりに個人種目での出場を逃した。過去の五輪でも、日本勢の最高成績は06年トリノ大会の渡辺心・木戸章之組、18年平昌大会の村元哉中・クリス・リード組の15位にとどまる。4種目の中で、いまや日本フィギュア界で唯一の「弱点種目」と言っても過言ではない。
「氷上の社交ダンス」と呼ばれるアイスダンスは1976年インスブルック大会から五輪種目となった。他の3種目と最も違う点は、プログラムにジャンプがないこと。一方で、高いスケーティング技術によるターン、ステップ、リフトに加え、同調性や表現力が問われる。使用するスケート靴も細かなエッジワークに対応できるように、シングル用と比べてブレード部分が短いのが特徴だ。
シングルスケーター転向の流れ
日本国内で大きな注目を集めたのは、男子の元世界王者で、2010年のバンクーバー五輪では銅メダルも獲得した高橋大輔さんが19年にアイスダンスに転向し、村元さんとカップルを結成したことだ。高橋さん・村元さん組は五輪出場こそかなわなかったが、22年の四大陸選手権で銀メダルを獲得し、23年には世界選手権にも出場した。ただ、男子時代には「世界一のステップ」と称賛されたエッジワークを武器とした高橋さんでさえ、アイスダンス転向後は苦戦を強いられるほど、奥深い種目でもある。
