高橋さんの挑戦は、日本国内において、男女のシングル出身選手の転向の一つのモデルケースとなったといってもいいだろう。実際、近年は男女シングルのトップクラスのスケーターがアイスダンスに種目転向するようになっている。
25年は、男子シングルで22年の全日本選手権で2位の実績を持つ島田高志郎選手が転向し、18年の女子グランプリファイナル覇者の紀平紀花選手もアイスダンスへ活動の場を移して話題を集める。
日本フィギュアは男女のシングルが中心で、アイスダンスは指導者も限定的だ。このため、海外のように幼い時期からアイスダンスに専念する環境になく、競技人口も少ない。
一方で、ペアのように一方のスケーターを頭上高く持ち上げるリフトや、アクロバティックなスロージャンプがなく、海外勢に比べて小柄な日本の男子スケーターには転向しやすい利点もある。日本国内でシングルから転向する流れができつつあることは、アイスダンスのカップル数を補う上で大きい。
日本フィギュアの新たな風となるか
国内の勢力図では、ミラノ・コルティナ五輪に団体メンバーで出場し、日本の銀メダルに貢献した吉田唄菜選手・森田真沙也選手組のほか、26年3月の世界ジュニア選手権に出場した⼭下珂歩選手・永⽥裕⼈選手組も次のシーズンからはシニアに参戦する。
アイスダンスの全日本選手権や国際大会でのメディア露出は、男女シングル、”りくりゅう”時代のペアと比べ、各段に小さく、結果しか掲載されない時もある。しかし、宇野選手と本田選手という話題のカップルの参入によって、ここからの4年間は状況が激変するだろう。
日本のフィギュア界全体をみても、坂本さんが引退し、鍵山選手も新たなシーズンの休養を宣言している。抜群の知名度を誇る宇野さん、本田さんの電撃復帰と30年五輪を目指す軌跡は、アイスダンスの国内での競争を激しくさせるだけでなく、日本フィギュア全体の人気を維持していくためにも大きな貢献となりそうだ。
