科学技術立国
テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来
アレクサンダー・C・カープ、ニコラス・W・ザミスカ(著)、村井章子(訳)日本経済新聞出版
3300円(税込)
3月、高市早苗首相と面談したピーター・ティール氏。同氏と共にAIを使ったデータ解析などで知られるパランティア・テクノロジーズの共同創業者に名を連ねるのが著者のカープ氏だ。本書は、このような最先端企業のトップが持つ社会観、世界観を知ることができる。それは、テック企業が本当の意味で世界を変えるようなイノベーションを起こすには、国家との関係をより深めなければならないというものだ。一方、軍事産業にテック企業が協力することに、企業内部から抵抗が示されることもある。だが歴史的に見れば、大きなイノベーションが、国家との協力のもとで生まれたのも事実だ。
つながらない人々
ラストアイランド 北センチネル島 なぜ外界との接触を 拒み続けるのか アダム・グッドハート(著)、笠井亮平(訳)白水社 2640円(税込)
インターネットの普及は、気軽なコミュニケーションを可能とした。しかし、インド領アンダマン諸島にある北センチネル島は未知の地であり、住民のセンチネル族は外部との接触をしない人々だ。昨今でも、接触しようとした米国人が襲撃されている。北センチネル島への密航など、著者の飽くなき探究心はアンダマン諸島に生きる人々を立体的に浮かび上がらせる。センチネル族が同じ空の下で、同じ瞬間を生きていることを考えると、思わず親近感が湧いてくる。
唯一の自伝
ムーンウォーク マイケル・ジャクソン自伝 マイケル・ジャクソン(著)、田中康夫(訳)河出書房新社 2640円(税込)
本書に出会うまで「マイケル・ジャクソン」を誤解していた。リアルタイムの活躍を知らない世代には、不思議で理解し難いアーティストに映るかもしれない。彼が20代後半の頃に行われたインタビューを収録した本書は、幼少期からスターダムを駆け上がるまでの歩みが、マイケルが語り掛けてくるかのように綴られる。その言葉の端々から慈愛に満ちた人柄やユーモア、ピュアで繊細な心が伝わってくる。偉大な功績を残したからこそ抱えた孤独や苦悩も、改めて知った。
