2024年7月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月8日

 第1に、中国の「9点線」の主張に対し、より強く反駁すべきである。米国はこの主張は基本的に間違っていると公然と述べた。ジョンストン国防相もシャングリラ対話で日米と共に中国を批判したが、中国を含む領土主張国が主張を棚上げし、共同資源開発をするように呼びかけたらよい。

 第2に、豪政府は、静かに、東南アジア諸国が中国に対抗する能力を強化する方策を考えるべきである。高度な軍事装備よりも、海洋法の執行や監視能力の強化を支援するのが良い。中国の海洋での行動は、豪州のより積極的な態度を要求している、と述べています。

* * *

 豪州では、対中融和的な議論もある中で、こういう正論もあります。南シナ海での中国の行動を国際規範に反するとして、豪州自身の問題として捉えています。こういう意見が豪州内で強まることは日本としては歓迎できます。

 国際法違反の「9点線」に基づく主張には、強く反駁していけばよいわけです。

 ただ、紛争棚上げや資源の共同開発を解決策としているのは感心できません。紛争棚上げ合意を通じ、紛争の存在を認めさせる戦術を中国は狙っているからです。微妙な点であるので、豪州側によく説明しておく必要があります。

 東南アジアの海洋能力支援はよいことで、日豪とも進めたら良いでしょう。

 対中政策論議に際して、中国のような大国で対外経済関係も深い国は、冷戦時代のソ連のように封じ込めることなど出来ないと、よく言われます。しかし、これは冷戦時代の封じ込め政策について、誤解に基づく言説です。X論文を読むと判りますが、フォレスタル海軍長官やケナンが封じ込めということで念頭に置いていたのは、ソ連共産主義の「拡張主義」を許さない、拡張主義を抑えておけば、内部崩壊する可能性があるという趣旨でした。

 よりタカ派的な「巻き返し」と、よりハト派的なデタントの間に位置した政策でした。中国の拡張主義には、こういう封じ込めで対応するのは、当然のことでしょう。

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