6月23日、プーチン大統領は、クリミアへのドローン攻撃や燃料不足の問題に言及しつつも、「ロシア軍が次々と集落を解放しているという状況」を変えるものではない等と述べ、戦闘終結の兆しについては一切示唆しなかった。
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ウクライナの戦略転換を支える2つの要因
2023年夏の「反転攻勢」が失敗に終わった後、ウクライナは地上軍を中心とした正面突破による領土奪還から、①ロシア領内への攻撃による継戦能力の弱体化、および②ロシア本土と被占領地域を結ぶ兵站ルートの遮断、を基本とする戦略に転換した。この戦略転換が約3年後の今日、具体的な成果として実を結びつつあるというのが今の状況と言えるだろう。
本件解説記事は、上記②のうち、クリミアの孤立化作戦の成果を中心に記述したものであるが、戦略の全体像に触れつつ、現状と今後の注目点について、以下にとりまとめておきたい。
クリミアはウクライナ戦争を戦うロシア軍にとって、最重要の兵站拠点の一つである。それはクリミア駐留部隊のみならず、ヘルソン州の部隊にとっても、死活的な重要性を有している。
ところがクリミアは、ウクライナ本土と連結する3本のルート、およびロシア本土と連結するクリミア大橋という4つのチョークポイントを抱えており、このうち前者3本のルートがウクライナ側の攻撃により、いまやその使用に大きな困難を抱えている。残るクリミア大橋も橋梁そのものは残されているものの、ケルチ海峡の両岸周辺ではウクライナ側がミサイルやドローンによる集中攻撃を加えており、大規模な軍事物資の移動には使いにくい状況にある。さらに、フェリーによる海上輸送についても、フェリー自体がウクライナによる攻撃で何隻も破壊され、現在、事実上の停止状態にある。
これに追い打ちをかけるように、半島内では発電関連施設に対する攻撃で電力が大幅に減少しているほか、14年のクリミア併合以来の課題であった水供給問題も一層悪化しており、部隊の戦闘能力の低下のみならず、民間居住者の生活も厳しくなりつつある。
ウクライナによる攻撃が今のペースで続けば、クリミアの完全孤立化という事態が視野に入ってくる。それはクリミアだけではなく、北方のヘルソン州駐留ロシア軍も部隊を維持し続けることが困難になることを意味する。
以上の成果は、主として二つの要因によってもたらされたものだ。
ひとつは、ウクライナ自身のドローンやミサイルの質・量両面にわたる目覚ましい発展である。ウクライナのドローン、ミサイル開発による「ハイテク非対称戦」によって、昨年春頃から徐々に兵站ルート遮断の現実的な可能性が見え始めてきたのである。
もうひとつは、米欧による実質的なウクライナ支援である。
トランプ第二期政権は、バイデン時代に比して対ウクライナ支援を大幅に削減したが、それでもウクライナにとって死活的に重要な支援は続けている。
中でも重要なのが、衛星によるターゲティング・データの提供と米製兵器を使ったロシア領深部への攻撃の承認だ。
