2026年7月14日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月14日

 ウクライナは、どれほど優れたドローンやミサイルを生産しあるいは米製兵器を導入しても、おおよそ100キロメートル(km)以遠の標的に対する攻撃には、米国の衛星によるリアルタイムのターゲティング・データがなければ効果的な運用は不可能で、また米製兵器を使用する場合はロシア領深部攻撃への使用が認められていなければ、継戦能力の弱体化という目的を達成することができない。これらは昨年10月の大統領令で正式に認められ、可能となった。

 さらに、米企業の協力も重要な役割を果たしている。例えば、本年2月以降、スペースX社「スターリンク」のホワイトリスト化により、ロシア軍による同端末の利用が大きく制限されたことはロシア軍の行動を著しく制約した。

 欧州もウクライナ支援において重要な役割を果たしており、本年4月に決定されたウクライナへの900億ユーロの融資は、今後2年間の戦闘を可能にするとみられている。

懸念されるロシアの核

 今後の動向として最も注意すべきは、プーチンによる核の威嚇だ。クリミアは、プーチンにとって権力の象徴であり、「ロシア民族の宗教的・歴史的アイデンティティの出発点」であって、軍事的な意味合いを遥かに超える政治的意義を有している。クリミアの喪失は、プーチンの政治生命に関わる一大事であり、プーチンはあらゆる手段を講じてこれを防ごうとするだろう。

 22年の秋、ハルキウ州についでヘルソン市が奪還された頃、ロシアはまさに、具体的な形で核の脅しを仕掛けてきたが、この時は、米国はもちろん、中国もロシアの核兵器使用に反対した。今回、ロシアが再び核の脅しを仕掛けてきた場合、米国や中国は22年と同様の行動に出ることができるのか、また国際社会は一丸となってロシアに警告を発することができるのか、真に重要な局面が訪れることになるだろう。

空爆と制裁▶Amazon
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る