2026年7月11日(土)

脱「ゼロリスク信仰」へのススメ

2026年7月11日

 具体的には、「効果の大きさ」が少なくとも1.5倍から2倍以上ある「強固性」、その結果が別の実験で確認されている「再現性」、量が多いほど効果が大きいという「用量反応関係」、グルコサミンを飲んだから病状が悪化したのであって、病状が悪化したからグルコサミンを飲んだのではないという「時間性」、そして、その結果が動物実験や試験管内試験で裏付けられている「生物学的妥当性」などだ。そのような検討結果を表に示す。

 その結果、人間のデータが示しているのは、「グルコサミンの摂取とアルツハイマー病の進行・死亡には相関関係がある可能性」までで、「グルコサミンが原因でアルツハイマー病を悪化させる」という「因果関係」は証明されていない。これは論文の著者自身も認めていることで、グルコサミンとアルツハイマー病の因果関係を明らかにするためには、ヒト臨床試験を行うことが必要だと主張している。

怖がってもいけないし、無視してもいけない

 この論文の結果から、グルコサミンの作用を表にまとめる。その結論は、「怖がる必要はない」ということだ。

 最も重要な点は、 健常者ではグルコサミンの悪影響はないことである。またアルツハイマー病の人も、「グルコサミンが症状を悪化させる」と「証明」されたのではなく、小さな可能性を示したにすぎない。ただし、だからこの研究結果を無視してもいいという話でもない。

 動物実験という「手がかり」がある以上、ヒト臨床試験で確認することが重要である。以上、専門家がこの論文を読んで、「グルコサミンは危険だ!」などと言わない理由は、この論文が「単なる可能性を示しただけ」だからという事情をご理解いただけただろうか。

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