2026年1月12日(月)

家庭医の日常

2026年1月12日

病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。  
(frantic00/gettyimages)

<本日の患者>
C.S.さん、71歳、女性、元映画館オーナー。

 「この頃『高血圧の予防に食事のナトリウムを減らしてカリウムを増やしましょう』ってよく見かけます」

 「そうですね。食事などでの摂取量を反映する、尿に排出されるナトリウム/カリウムの比を『ナトカリ比』と呼んで、それを下げましょうと宣伝されています」

 「私もやってみた方が良いでしょうか?」

 「うーん、悩ましい。C.S.さんのように、高血圧だけでなく慢性腎臓病(CKD)もある場合には注意が必要なんです。ナトカリ比を下げることは、高血圧には良くても腎臓にとってはリスクになることがあるんですよ」

 C.S.さんは、夫のT.S.さんと一緒に40年以上前からこの町で人気の映画館を続けてきた。3年前にT.S.さんが亡くなってから、昭和の名画座の名残りを残す映画館は若い経営者に引き継がれたが、今でも時々、上映する名画の選定についてC.S.さんが助言していると聞く。

 私が働く家庭医診療所へC.S.さんが最初に受診したのは16年前。健康診断で「腎機能が悪い」という結果を心配して相談に来たのだ。その時に勧めた家庭での血圧測定の結果から高血圧もあることがわかり、以後は生活習慣改善の努力に加えて、降圧薬の服用を継続している。


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