自社の製品としてはじめに紹介されたのが新しいAIインフラのためのチップシステムであるVera Rubin(ベラ・ルービン)だ。これまでGPUに注力してきたNVIDIAだが、今後はより効率的なインフラの指揮者としてCPUの重要性が高まる、と語る。また予想される膨大なデータ処理のためにメモリの需要も高まっていく。
ちなみにフアン氏はコンピューテックスの会期後に韓国を訪れ、SKハイニックス、ネイバー、斗山などの大手企業と主にメモリの分野でパートナーシップを組み、大規模AIデータセンター構築を行うことも明らかにした。
庶民的な感性を持つテック界のスーパースター
この会合が大衆的な食堂でサムギョプサルを囲んで行われたことが大きく報道されたが、フアン氏は台湾でも庶民的な食べ物が好みのようだ。演説の最初の方では「台湾のAIエコシステム構築のための重要なパートナー」と多くの企業名が並べられたが、「最も大切なパートナー」とフアン氏が指さしたのは台北の庶民的な食堂名だった。
このようにファン氏の演説はところどころにユーモアが混じる内容で、会場の反応が薄いと「ここは拍手しても良いところだよ」と聴衆との一体化が求められる。2時間近い長丁場の演説でも人々を飽きさせない工夫がフアン氏の人気の秘密のひとつかもしれない。
2時間の演説を集約すると、「AIプラットフォームの進化」「フィジカルAIとロボティクス」「エコシステムとサプライチェーン」という3つのテーマになるが、そこに共通しているのは「NVIDIAのシステムがいかに省電力化を果たし、作業効率を高め、デジタルツインにより稼働シミュレーションや顧客によるカスタマイズを行うことで設置から稼働までの時間を短縮するか」という視点だ。
ソフトウェア業界は目まぐるしく変化している。数年前はHopperの時代、その前はAmpereの時代だったが、今はエージェンティックAIの時代だ。この変化をいち早く取り入れ業務効率化を果たすために、NVIDIAは顧客にとって最適かつ最速のシステムを提供することが強調された。
またフアン氏が語った「エージェント」とは、ヒトにとってのエージェントではなくAIのためのエージェントだ。AIエージェントというとChatGPTのように言語によりヒトをアシストするイメージがあるが、NVIDIAが掲げるエージェントは「数秒ではなくナノ秒単位で稼働するAIにとって必要な性能を持つ」もので、従来品に比べて5倍の速度で処理が可能になるという。
