かくて2001年、前代未聞の継手、まるみ君がデビューを果たす。
命名者は木村さん自身である。
「パイプを曲げて作っているから、管路がR(円弧)状になる。だからまるみ君なんです。うちの製品には高圧がかかりますが、このRのおかげで管路抵抗が少なくなって油の流れもよくなりました」
歩留まりも格段に向上した。
「鍛造品の場合、製品を作るのに133㌘の材料が必要ですが、まるみ君はドリルで穴を開けないから、同等の製品を作るのにわずか54㌘の材料しかいらないんです」
工程が少なく、品質もよく、歩留まりもいいまるみ君は、文字通りトキワ精機の〝救世主〟となったのだが、木村さんは「まるみ君に教わったことがたくさんある」と不思議なことを言う。
必要に迫られた製品開発で
思わぬ学びがもたらされた
「まるみ君はダイヤの原石なんかじゃなくて、もう、ダイヤモンドそのものなんですよ!」
いささかハイなテンションでこう語るのは、トキワ精機の生産本部長・福井幸平さん(48歳)である。
福井さんによれば、まるみ君は日本が50年に実現を目指すカーボンニュートラルに向けて輝きを増していく〝可能性の塊〟なのだという。
「東京都はカーボンニュートラルに先立って30年にカーボンハーフの実現を目指しているので、ユーザーさんの多くが脱炭素に取り組まざるを得ない状況にあります」
