2026年8月3日(月)

「永田町政治」を考える

2026年8月3日

首相の座は特別

 誰かから頼まれて引っ張り出されたのではなく、なりたくて、なりたくて首相の座を手中にしたのだから、首相が睡眠不足を嘆くのは、スジが違うだろう。

 それは措くとして、首相も主婦の一人だが、あわせて日本国に一人しかいない内閣総理大臣なのだから、皿洗いや風呂の掃除などに時間を奪われるのはナンセンスではないか。公邸の職員に任せたところで、「公私混同だ」などの批判はでないのではないか。

 首相は、国家・国民に思いを致し、危機に備えて十分な睡眠、休養をとってほしい。

精彩を欠けば、国民に伝染する

 話が逸れて恐縮だが、筆者が故中曽根康弘首相の番記者だった1987(昭和62)年だったと思うが、氏がフィンランド、ポーランドなど厳寒の北欧、東欧5カ国を歴訪した。

 記憶に誤りがあるかもしれないが、強行軍の日程を終え土曜日夕に帰国した首相は、その足で都内のホテルで開かれた自民党議員の励ます会に出てあいさつ、夜は、時差ぼけも気にせず谷中の禅寺に出かけて座禅。翌日、寒風の中、ゴルフをした後、週明けの月曜日は午前中に京都国際会館で開かれていた国際会議であいさつして東京へ戻るというスケジュールをこなしたことがある。

 すさまじい日程による体調への影響を懸念した秘書官が、「強く進言して日曜日の午前中だけは何としても休息をとってもらった」と、後になって苦笑交じりで話していた。

 公私ともに超過密なスケジュールをこなそうとするのが、どの首相にとっても常であり、自制を促すのは側近の仕事だ。首相には、休養を強く勧める側近はいないのだろうか。

 首相が精彩を欠けば、たちまち国民に伝染する。コロナ禍の最中に安倍晋三首相が体調を崩した時、国民の間に憶測が乱れ飛んだ。平時なら、治療を続けながら職にとどまることが可能だったかもしれないが、結局は退陣に追い込まれた。危機にあって最高指導者が体調不良をかかえていては責任を果たせないという判断だったろう。

 「大事争うべし 些事構うべからず」――。故福田赳夫元首相の座右の銘といわれるが、高市首相、些事にこだわって大事を見失うことがあってはなるまい。

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