2026年8月9日(日)

食の「危険」情報の真実

2026年8月9日

ギラン・バレー症候群のリスク

 そこで検討が進められているのが、今回の新たなガイドライン策定だ。独自のガイドラインがある宮崎・鹿児島の両県でもカンピロバクター食中毒は発生しているとはいえ、他地域に比べると少ない件数で推移している。

 ただ、懸念されるのが、国がガイドラインを作ることによって「鶏肉は生食できる」と消費者に誤解されることだ。ガイドラインが「国のお墨付き」となり生食の需要が拡大すれば、かえって食中毒の発生が増える可能性もある。

 カンピロバクター食中毒は、腸管出血性大腸菌(O157など)のように重篤化して死亡することはほとんどないが、症状が治まってから1~2週間後にギラン・バレー症候群を併発することがある。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手や脚に力が入らなくなる難病だ。

 約7割は回復するとはいえ、後遺症で寝たきりになったり車椅子での生活を余儀なくされたりする人もいる。この病気の発症原因の3~4割はカンピロバクターとされている。

 鶏肉の生食が増えれば食中毒が増加し、それに伴ってギラン・バレー症候群に苦しむ人が増えることにもつながりかねない。

正しいリスクの周知徹底を

 カンピロバクター食中毒を防ぐ最も確実な方法は、「鶏肉を中心までしっかり加熱して食べること」に尽きる。特に子供や高齢者、妊婦は食中毒になったときに重症化しやすいため、生食は絶対に避けるべきだ。店のメニューにあると「安全な料理」と思い込みがちだが、実際に多くの食中毒が飲食店での生食によって起きていることを忘れてはいけない。

 もちろん、ガイドラインの策定によって衛生管理のレベルが上がり、食中毒のリスクが低減すること自体は望ましい。しかし、「ガイドラインがある=生で食べても安全」という誤った安心感が広まらないように、国には正しくリスクを伝える啓発活動の徹底が強く求められる。

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