ノロウイルスによる食中毒の集団発生が各地で相次いでいる。かつては冬から春先にかけて猛威を振るっていたノロによる食中毒だが、近年は時期を問わず多発しており、暖かくなるこれからの季節も例外ではない。
ノロウイルスは加熱したパンからも感染することもある(Kavuto/gettyimages)
集団発生する要因の一つが、感染しても症状が出ない「不顕性感染」の人による食品の汚染がある。20世紀初頭に「毒婦」として恐れられた家政婦メアリーは、腸チフスの不顕性感染者だった。メアリーが得意の料理をふるまったことで雇い主らを感染させ死者も出した話は『病魔という悪の物語-チフスのメアリー』(ちくまプリマー新書)に詳しいが、誰もが「ノロウイルスのメアリー」になる可能性があると考える必要がありそうだ。
加熱調理後に汚染?給食パンで300人超
大阪府熊取町で3月中旬、町立の小中学校8校で、学校給食を食べた児童、生徒ら600人超が下痢や嘔吐などの症状を訴えた。大阪府の泉佐野保健所が調べたところ、複数の患者の便と、給食パンを製造した事業者のスタッフの便からノロウイルスを検出。8校で共通する食材で汚染の可能性があるのはパンしかなかったことから、府は症状が出た人のうち302人を給食パンが原因の食中毒と断定した。
府によると、パンは個包装されず、むき出しの状態で箱詰めされていた。汚染は加熱調理後の工程で起きたとみられるが、箱詰め作業に当たったスタッフからはノロウイルスが検出されておらず、唯一ウイルスが検出されたのは配送担当者のみ。このため、直接食品に触れる機会がない配送担当者がどう関与したのか、あるいは別の汚染経路があったのではないかなど、「本当に給食パンが原因なのか」と疑問視する声も上がっている。
