2026年4月9日(木)

食の「危険」情報の真実

2026年4月9日

感染経路はウイルスの遺伝子比較でわかる

 国立医薬品食品衛生研究所客員研究員で、長年にわたりノロウイルスの研究をしてきた野田衛さんは「今報道されている情報だけでは、実際の汚染ルートを想定することは難しい」とした上で、「ただ言えるのは、汚染の連鎖がつながるのであれば、ノロ陽性者が直接パンに触れていなくても食中毒は起こり得るということ。解明する手がかりの一つになるのが、患者と従業員から検出されたノロウイルスの遺伝子の塩基配列の比較です」と話す。

 ノロウイルスには多くの遺伝子型(ジェノタイプ)がある。ノロによる食中毒は発症までに1~2日の潜伏期間があることから、同じ場所で発生した食中毒のようにみえても、実はそれぞれが別の場所で感染していたということもありうる。しかし、配送担当者と患者から検出したウイルスの遺伝子型の塩基配列が一致すれば、配送担当者から何らかのルートでパンが汚染された可能性が高いといえるわけだ。

検品時にパンが汚染することも

 学校給食のパンを原因とするノロウイルスの食中毒はこれまでにも少なからず起きている。中でも浜松市の小学校で2014年に起きた食中毒は、患者が1271人と群を抜いて多かったことで印象に残っている。

 この時は、異物混入を調べるための検品時にパンが汚染されたことが原因だった。検品は、焦げ目や油かすの付着がないか調べるもので、従業員が焼き上がった食パンを1枚ずつ手に取り、裏表を確認していた。作業は手袋をして行われていたが、トイレの後に十分な手洗いをせずに手袋に触れ、結果的にパンが汚染されたようだ。

 大阪の集団食中毒もそうだが、ウイルスが検出された従業員に体調不良はなく、自身が感染していることに気づいていなかった。ノロウイルスによる食中毒がなかなかなくならないのは、感染しても症状が出ない「不顕性感染」の人が食品に触るなどして感染を広げていることがある。

 野田さんは「ノロの場合、不顕性感染でも便に排出されるウイルス量は症状がある人と変わらない。調理の現場はもちろん、食品にかかわる人は、誰もが感染していることを前提に対策をする必要がある」と指摘する。


新着記事

»もっと見る