それにしても彼らはなぜ捕まったのか。考えられる理由としては、ヒズボラの戦闘員、あるいは協力者とみなされた可能性だ。
しかし、母親のナハワンドはきっぱりと否定する。
「このあたりには、今はヒズボラの戦闘員もいないし、勧誘活動もない」
もう一つ考えられる可能性としては、彼らをイスラエル側のスパイとして利用するため、送り返すことを前提に拘束したという見方だ。拷問や脅迫によって、受け入れざるを得ない状況に追い込まれることもある。
イスラエルの協力者にされる可能性
かつて、1982年から2000年まで、イスラエル軍はレバノン南部を占領していた。その際、イスラエル軍は自軍だけでなく、レバノン人のキリスト教徒を中心にした民兵集団である「南レバノン軍」を使って、シーア派住民を支配していたという過去もある。イスラエル軍のかわりに、レバノン人を使って、他のレバノン人を支配する仕組みがあったのだ。
その中には、生活の糧を得るためとして、南レバノン軍に入ってイスラエル側に協力したレバノン人もいるし、情報提供者(=スパイ)となった人もいただろう。
今回の3人の拘束に関して、イスラエル側の協力者にさせられるのではないかと、家族も胸の内で懸念しているかもしれない。
しかし、その不安を言葉にして言うには、あまりに状況が繊細すぎる。
「今はただ無事でいてほしい」という思いを家族は繰り返した。
家族は、赤十字、国連レバノン暫定駐留軍、レバノン政府と、あらゆるところに連絡したが、どこからも返事や情報はないという。8月中旬現在、3人は拘束されたままだ。
後編に続く
