少子化の中
「金の卵」をどう発掘するか
また、地域展開がスムーズに進んでも、少子化という根本的な問題は解決されない。過疎化が進む地方では、競技によっては子どもたちの人数確保が困難となり、受け皿となるチームや部活が淘汰されかねない。実際に多くのスポーツで、高校生の競技人口がここ20年ほどで減少の一途をたどっている。
子どもたちの数が限られる中で、多様な競技が共存していくために、部活動が複数のスポーツを体験できたり、シーズン制を導入したりすることで、スポーツに触れる選択肢を広げることはできないのか。
豪雪地帯では野球やテニスなどは冬場にできず、近年の猛暑続きで夏場に屋外で行うスポーツには熱中症リスクが伴う。例えば、野球をやっている子どもたちが体力を培う冬場には陸上やサッカー、降雪地方では屋内でできるバスケットボールやバレーボールなどをするといった、中学からの部活をシーズンごとや曜日ごとに「複数選択」できる制度によって、子どもたちを複数のスポーツが〝シェア〟できるようになれば、競技人口を増やすことができるかもしれない。
それは子どもたちが得意な競技と巡り合える機会の増にもつながるだろう。少しでも経験したことのある競技ならば、プロリーグなどを観戦する動機も増し、市場が先細るのを防ぐこともできる。
地域展開の受け皿の一角を担う総合型地域スポーツクラブは、多種目や志向・レベルに合わせて参加できる多志向を特徴に掲げる。ドイツや米国などでは、地域主体でこのようなスポーツ活動が浸透する。
日本でも、一部の地域で導入されているが、子どもたちが季節ごとに複数競技を経験するといった仕組みの浸透までにはいたっていない。部活動を学校単位から地域へと展開することで、子どもたちが複数のスポーツを横断できる環境の礎として根差す機会にならないか。前出の伊藤さんは「部活動の運営は行政の判断に委ねられるが、指導者を配置する立場からすれば、柔軟に子どもたちを受け入れることは可能で、そのような環境は理想と言える」と話す。
多様なスポーツが、限られた子どものパイを分け合い、様々なスポーツにチャレンジすることで、それらの楽しさを見出せる環境を生み出していく──。そんな未来を描けるのであれば、少子化の中でも日本のスポーツ界がさらなる発展へと進むこともできるようになるはずだ。

