2026年8月26日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月26日

 しかしPNGは、台湾との関係悪化よりも、中国との関係強化の方が重要であると判断したのだ。今年4月、PNGの首相は訪中し、鉱業やエネルギー分野での取引について協議した。

 PNGだけではない。ナウルもまた、豪州との協定締結後に、中国との関係を改めて重視する姿勢を示した。24年12月に締結された「ナウル豪州条約」は、豪州が5年間で1億豪ドルの財政支援と4000万豪ドルの警察支援を提供する代わりに、安全保障、銀行、通信分野におけるナウルの対外関係について、豪州に事実上の拒否権を与える内容となっている。

 しかし、その8カ月後、同国外相は、中国政府系企業と約10億豪ドルの投資提案に署名した。これは豪州との事前協議なしに公表された。豪州は、この案件がナウル豪州条約に抵触する可能性があると指摘する。

 バヌアツでは、25年9月の署名が予定されていた豪州との「ナカマル協定」が、豪州に第三国との関係を制限する拒否権を与えかねないとの懸念から再交渉され、その結果、全面的な拒否権ではなく、協議を義務づける条項へと内容が緩和され、今年6月に同国首相が豪州を訪問し、漸く署名された。しかし、バヌアツは、中国と「ナメレ」と呼ばれる包括的協定の策定を進めていた。

 フィジーについては、今月初めに豪州は画期的な同盟協定と包括的協力協定に署名した。これは「アルバニージー政権による太平洋外交の連続的成功」を締めくくるものだった。

 しかし、太平洋における「恒久的な影響力争い」は終わることがない。豪州がこの地域で「第一のパートナー」としての地位を維持するためには、これらの協定を締結する際に必要だったのと同じように、太平洋諸国の優先事項を尊重し、継続的かつ積極的に関与し続ける外交努力が今後も求められる。

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今後も続く中国との競争

 7月16日、PNGは突然ポートモレスビーの台湾代表処の閉鎖を命じた。PNGが署名していた豪州との安保条約が同月8日発効したばかりで、フィジーとの安保同盟条約が署名された(同月8 日)直後であった。

 6月、7月の豪州の対島嶼国外交が次々と成果を収め、一種の成功感があった時だったので、驚いた。中国のしたたかさと執拗さ、そして島嶼国のしたたかさ(西側と中国の間の実利天秤外交)、対島嶼国関係の難しさが再認識させられた。

 最近、中国は西側の外交イニシアティブが出るとただちにそれをオフセットする措置を取って来る。中国は、島嶼国に対中ヘッジをさせ、PNGに難しい選択を迫り、台湾の事務所の閉鎖を強いた。経済を武器に相手の行動を変えさせるやり方は経済的強制といわれても仕方ない。


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