2026年8月26日(水)

教養としての中東情勢

2026年8月26日

最大の打撃はUAEの経済関係断絶

 イランにとって痛いのは輸入の3割を供給する対岸のUAEが8月18日、イランとの経済関係断絶を発表したことだ。トランプ大統領がムハンマド大統領と電話会談した直後に発表されたが、イランはUAEから電化製品、貴重金属、消費物資などを輸入、食料を輸出している。制裁下のイランにとってUAEは「世界経済への入り口」という重要な存在だった。

 しかし、戦争が始まると、UAEはイランの標的になった。トランプ政権の仲介による「アブラハム合意」でイスラエルと国交を樹立したUAEはイスラエルから対空防衛網「アイアンドーム」を急きょ導入するなど反イラン姿勢を強めていった。それでも水面下ではイランとの経済関係は続いていた。

 経済関係断絶の発表の直前、UAEはイランの弾道ミサイル2発の攻撃を受けたとされるが、イラン側は否定している。米軍が弾薬不足に陥る中で、UAEでは米軍事企業が安価なドローン(無人機)の生産を始めており、こうしたこともあってイランは攻撃の矛先をUAEに向けるようになっていた。

同盟国を爆撃すると恫喝

 トランプ大統領はUAEを今回の経済制裁への支援国として引き入れる一方で、同じペルシャ湾岸諸国の小国オマーンに対しては「(米イラン交渉を)邪魔したら徹底的に爆撃する」と威嚇するなど不穏当な言動を繰り返している。オマーンはホルムズ海峡の航行についてイランと協議をし、合意が近いと報じられたことが大統領の逆鱗に触れた。

 大統領はイランとの交渉がうまくいかないことに苛立ちを強め、米国抜きで話し合いが進むことに激怒したのだという。6月に合意した「覚書」は海峡の航行に関しイランとオマーンの話し合いを認め、大統領も承認していたはずだが、オマーンは「イランに同調すれば、吹き飛ばす」と言われ、戸惑いを隠せない。

 オマーンは米国の同盟国。イラン戦争の調停者として米国を助けてきたばかりか、米軍がアフガニスタンから撤退した際には中継地となり、またガザ戦争でもハマスとの仲介役を務めるなど米国はたびたび世話になってきた。そうした同盟関係を無視した大統領の発言には驚きを禁じ得ない。

 トランプ大統領の「同盟国を同盟国とも思わない」言動はますます強まっており、韓国がイラン戦争で米国の支援要請に積極的ではないことに怒り、最近の米韓合同軍事演習を大幅に縮小したことは記憶に新しい。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催に合わせて北朝鮮の金正恩総書記との会談を模索していることを考慮しても、場当たり的と言わざるを得ない。


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