外部依存の危険性
「談合・リベート」の罠
問題は、実際の終活を誰が遂行するかだ。大多数のマンション住民は管理への関心が低く、管理組合の理事会は機能しにくい。そこで国は、法改正と併せて、外部の管理会社や弁護士、マンション管理士らが管理組合の理事長を務め、管理業務の運営を統括する「外部管理者方式(第三者管理方式)」を推している。
しかし……外部の利害関係者が多額の修繕積立金を使う大規模修繕などを仕切れば、「利益相反(責務に背き、私腹を肥やす状態)」のリスクが高まる。現に大規模修繕をめぐって、外部の業者が管理組合を操り、不当な利益を得ようとする事件がたびたび起こっている。
いずれ終活は必要になるにしても、まずは建物とコミュニティーを健やかに保つことが重要だ。人でいえば、心身ともに自立して過ごせる「健康寿命」を延ばさなくてはならない。そのために外部依存の危険性を知っておきたい。例えば、「談合・リベート」の罠をご存知だろうか。
2025年春、公正取引委員会は、大規模修繕工事に携わる工事会社36社と設計コンサルタント(一級建築士事務所)2社に「談合を繰り返した」として、独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査をした。そして、26年6月、これらの事業者の独禁法違反を認定し、排除措置命令を出す方針を固めた。工事会社への課徴金(罰金)は計約16億円に上るという。
こうした業者間の談合による修繕工事費の水増しには、裏金のリベート(謝礼)がついて回る。概略を図で示しておこう。
全体の仕切り役は、管理組合が工事の設計や監理を任せる設計コンサルが担う。ほとんどの管理組合は、契約している管理会社の推薦や、マンション管理セミナーで得た情報などを頼りに、設計コンサルを選ぶ。
ところが、コンサルを決めた時点で、管理組合は談合・リベートの罠にはまっている、とベテランのマンション管理士は警鐘を鳴らす。
「管理・修繕の分野では、川上の管理会社や、設計コンサルから川下の工事業者まで、談合・リベートの悪弊が染みついています。工事会社が仕事をもらおうと管理会社や設計事務所に営業に行くと、真っ先にリベートを求められたりする。言われるままにカネを出しても仕事がとれないこともある。だったら談合グループを結成し、持ち回りで『チャンピオン』と呼ぶ落札予定社になり、割高の工事費で仕事を取って設計コンサルや管理会社にリベートを払い、仕事を回してもらおうとなる。工事業者だけ叩いてもダメですよ。川上をきれいにしなきゃ」
公取委の行政処分が下されれば、管理・修繕の業界は浄化されるのか。管理組合は、業者との契約に「談合禁止とペナルティ」の条項を入れて自己防衛するのはもちろん、業者選定の過程や見積もり内容をオープンにし、不自然な横並びの価格設定がないかなど、目を光らせる必要がある。公正・中立な専門家の支援を受けられればいいが、正式なホワイトリストは整備されていない。
大規模修繕の受注を目論む事業者の中には住民に「なりすまし」て管理組合に潜入し、理事会や修繕委員会の議事を誘導する者もいる。

