2026年9月13日(日)

つくりびととの談い

2026年9月13日

「職人」を名乗る
高橋さんが抱く自負

 ところでネオンとは何かといえば、ネオンガスやアルゴンガスを封入したガラス管に高電圧をかけて、内部のガスを発光させる仕組みである。

 ネオンガスは赤く発光し、アルゴンガスは青く発光するが、透明なガラス管だけでなく、内側に蛍光塗料を塗った蛍光管やガラス自体に色がついた着色管を使うことで、様々な色のバリエーションを出せる。

管の端材。カラフルなのが「着色管」。蛍光管の内側に塗られるパウダーは約30種類あるという

 作り方は、いたって単純。

 原寸大の原稿を用意し、ガラス管をガスバーナーで熱して柔らかくして原稿の上に乗せ、文字に合わせて両手で曲げていく。

原寸原稿に合わせて管を曲げていく。「正面が真っすぐ見えるように、ネオンは奥から曲げます」

 曲げ終わったら両端に電極を取り付け、中の空気を排出して真空にし、高電圧で焼きを入れる。焼きをしっかり入れると、耐久性が高くなる。

 焼きが終わったらネオンガスかアルゴンガスを封入し、光らせない部分に黒い塗料を塗って完成。

管にガスを封入する容器。光らせない部分は写真左にあるはけを用いて黒く塗りつぶしていく

 高橋さんは、バーナーの上でガラス管を前後に回転させながら焙ると、飴細工のようにクニャクニャと曲げては、一筆書きの要領で次々とアルファベットを描いていく(漢字や数字も描く)。

 完全な手作業。見ていると簡単そうだが、そうはいかないようだ。

 「僕はネオン屋に入ってから12年修業しましたけど、最初の7年はひたすら電極の取り付けと排気だけやりました。電極の取り付けも難しいんです。ガラス管と電極、両方を溶かしながらくっつけるんですが、ピンホールがひとつでもあったらガスが漏れてしまう。曲げはもっと難しいですよ」

米国製のバーナー2種。高橋さんでさえ納得のいく「曲げ」に到達するまで5~10年はかかったという

 高橋さんは口にくわえたチューブでガラス管の中に空気を吹き込んで内圧をかけながら管が潰れないように曲げていくのだが、その加減を言葉で説明するのは不可能だろう。

 「最初の頃は親方に見せても、目の前でパリンって割られましたよ。仕事にものすごく厳しい親方で、口癖は『ネオンはセンスだ』でした」

 センス?

 高橋さんはあくまでも自分は職人だと言うが、センスはアーティストの領分のような気がする。


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