2026年9月13日(日)

つくりびととの談い

2026年9月13日

 「ネオンって、裏側に配線とかトランス(変圧器)とかネオン管を支えるサポート(支柱)があるじゃないですか。そういうものを設置する壁の中に収められれば一番いいんですが、現場によっては見えてしまうし、わざわざ見えるように施工する場合もあるんです。ネオン管を曲げるだけじゃなくて、施工も含めたトータルな仕事にどこまで神経を使って美しく仕上げるか。そこがネオン職人のセンスなんです」

電極を取り付け終えた管。「背景も含めて作品」であるからこそ、設置までを見据えて作業を進める

 なるほど。感性とか感覚とは別物、ということらしい。

 「いくら仕事が下手でも、とりあえず点灯すれば作品にはなるけど、商品にはなりません。僕が自分は職人だと言うのは、商品としての品質に自信があるという意味なんです。若い人の中にはネオン・アーティストって名乗る人が多いですが、アーティストって自分から名乗るものじゃなくて、人から言われるものじゃないですかね」

ネオンだから灯せる
人を惹きつける光

 横浜港に面した新山下にある高橋さんの工房の中には、バーや喫茶店から3Dアートまで、自作のネオンサインが所狭しと飾られている。

 高橋さんがつくるネオンサインは極めて耐久性が高く、工房に展示されているネオンは2000年に独立してから今日まで、一度もメンテナンスをすることなく灯り続けているという。

 「LEDを使ったフェイク・ネオンが流行していますけど、僕は手を出しません。技術がなくても、アクリル板をレーザー加工してLEDを埋め込むだけで誰でも作れちゃいますが、LEDの光って、目を刺すような冷たい光じゃないですか」

 高橋さんが一番好きなのは、透明管を使ったネオンガスの赤い光。

 LEDがクリアな光だとすれば?

 「うん。ネオンの光はクールだよね」

 帰路、横浜港を背に山下公園からホテルニューグランドを眺めた。夕闇の中にボーっと浮かび上がるHOTEL NEW GRANDの文字に、なぜか軽い胸騒ぎを覚えた。

 年上の女性に憧れた若き高橋さんの気持ちが、分かる気がした。

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Wedge 2026年9月号より
日本スポーツ界の新潮流 変革の時をつかめ
日本スポーツ界の新潮流 変革の時をつかめ

大谷翔平、三笘薫、北口榛花、阿部詩、八村塁、松山英樹……。世界で活躍する日本人選手がここ最近、増え続けている。国内では、スポーツの力をまちづくりへ生かそうと、スポーツ界・民間・行政の連携も広がっているほか、新たな競技の普及も進んでいる。一方、少子化などの課題は競技人口にも影響を及ぼし始め、精神論や根性論など「昭和的価値観」の指導のあり方も見直され始めた。まさに、日本スポーツ界は変革の時を迎えている。新潮流を、日本社会へどう生かしていくか─。32年ぶりに日本でアジア大会が開催される今、その可能性を探りたい。


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