カナダにとって、米国の最新提案より良い合意を得る必要があるが、そのためには、感情的な米国大統領の要求を拒否しつつ、カナダが一方的に大きな被害を受け、勝ち目のない「報復の連鎖」を引き起こさないようにしなければならない。
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ディールを見越しているのか
この社説は、カーニーに対しトランプの過度な要求を拒否するのは良いが、その過程で報復の連鎖を引き起こせばそれはカナダにとって圧倒的に不利なので、カナダにとり少しでも良い合意を得るよう、交渉の余地を残す方向に舵を切るのがカナダの国益だと諭している。簡単ではないが、諸般の事情を考慮すると妥当な助言と言える。
今回、相互に関税を引き下げる合意が妥結寸前まで行ったにも関わらず、なぜ決裂したのか良く理解できないが、カーニーの言い分では、交渉の最後の段階で、米側がトラックについての関税引き下げを撤回したことに加えて、他国との貿易協定の締結を制限し、また、ケベックのフランス語優遇政策の是正を求めたことを主権に関わることとして到底受け入れられないとして拒否したという。
他方、8月26日、米通商代表部(USTR)のグリア代表は記者会見で、第三国との貿易協定を制限する条項は存在せず、また、フランス語等に関する文化的措置は米国側の重要な交渉条件ではなかったと述べたが、いずれにせよ交渉のチャネルはもはや存在しないとして、問題が長期化する可能性を示唆した。
トランプが追加的な措置を来年1月から実施するとしたのは、またそれまでに何らかのディールを期待してのことだろう。その狙いが、カナダとの貿易赤字の解消や米国産業の保護にあるのであれば、それも可能であろうが、カナダを屈服させ政治、経済面でカナダを従属的な地位に固定しようという地政学的意図が優先するのであれば、カナダ側は到底受け入れることができないであろう。しかし、トランプのことだから、何か綿密な計画がある訳ではなく、ディール思考と地政学的野心とが入り交ざり、その時々の状況でいずれかが優先されるので、予測は困難だ。
