不耕起での圃場ローテーションが可能になれば、生産コストは劇的に下がります。重機を動かす燃料も減り、土壌の炭素固定(地球温暖化の主な原因といわれる炭素類は大気よりも土壌中のほうにより多く含まれる)も進むため、環境負荷も大きく抑制できる。これは、日本の複雑な地形や小規模な圃場が集まった地域でも、ゾーニング(区分け)をしっかり行えば、十分に活用できるモデルです。
特に、増え続ける日本の耕作放棄地を「エネルギー生産の拠点」や「飼料生産の拠点」として再定義し、GMコーンや超多収で除草剤耐性を持つGMコメを導入することは、日本の社会システム全体の自立に貢献するはずです。
エネルギーと食料の安全保障とイラン情勢
昨今のイラン情勢をはじめとする国際情勢の不安定化は、エネルギーと食料を外部に依存することのリスクを浮き彫りにしました。エネルギー自給率、食料自給率が低い日本にとって、これらは生存戦略に直結する問題です。
バイオエネルギーの生産においても、GM作物の導入は欠かせない議論です。生産コストが最大の壁となっている現状の中で超多収品種や管理コストの低いGM作物は、国産エネルギーの有力な選択肢になり得ます。「食べるための農業」だけでなく、「社会を支えるための農業」へと視点を広げるべきです。
若い農業経営者に真実を届けるプラットフォームづくり
私は2023年、「日本バイオ作物ネットワーク(JBCN)」を立ち上げました。私が理事長ですが、副理事長は私と同じ志を抱く中森剛志さん(中森農産株式会社代表取締役)です。中森さんは27歳で独立就農し、現在は埼玉県加須市を中心に 300ヘクタールの農地でコメ、麦、大豆、トウモロコシを生産しています。
このネットワークの目的は、次世代を担う若い農業経営者に、世界の農業のリアルとバイオテクノロジーの真実を届けるプラットフォームを作ることです。
これまで、日本の現場農家の多くはGM作物に無関心でした。それは「自分たちには関係ない遠い国の話」だと思っていたからです。しかし、実際にGM作物を育てている世界の農家の声を聞き、その経営的メリットや環境への配慮を目の当たりにすると、若手農家たちの意識は確実に変わり始めます。
