2025年12月5日(金)

食の「危険」情報の真実

2025年10月17日

 スーパーの棚に並ぶ豆腐や納豆を見ると、以前は「組み換えではない」との表示が目に飛び込んできたが、最近はめっきり見なくなった。食品の表示ルールが変わったためだ。

(deeepblue/gettyimages)

 「組み換え」とは、「遺伝子組み換え」のこと。遺伝子組み換え作物は外部の生物から遺伝子を挿入し、「害虫に強い」など新たな形質を獲得した作物のことだ。

 国によって安全性が確認された上で流通しており、新たな毒性物質が生成されることはなく、栄養成分も従来の植物と同じだ。欧州連合(EU)や東京都などの動物実験でも、発がん性など健康への影響は認められていない。

 このまま「でない」表示が消えていけば、遺伝子組み換え食品への不安なイメージは払拭されていくのだろうか。

スーパーで見当たらない表示

 筆者の住む千葉県内のいくつかの大手スーパー(イオン、ベイシア、ベルク、カスミなど)で豆腐や納豆売場を見て歩く。以前は下の写真のような「遺伝子組み換え大豆は使用しておりません」や「遺伝子組み換えではない」といった表示がごくごく普通に見られていた。

 ところが、ここ1年くらいはそのような表示を探そうとしても見つからないことに気づく。中堅スーパーも含めて、目を皿にして探してみたが、とうとう「組み換えでない」という表示を見つけることはできなかった。

 この「でない」表示が激減したのは、食品表示法に基づく「遺伝子組換え表示制度」(一般にメディアは「組み換え」と書くが、行政は「組換え」の言葉を使う)の表示ルールが23年4月から厳しくなったからだ。

表示は「不検出」の場合のみ

 日本は1996年から米国やカナダなどから遺伝子組み換え作物(大豆やトウモロコシ、ナタネなど)を大量に輸入し、食用油や家畜飼料、清涼飲料の甘味料などに利用してきた。この状況を受けて、2001年に始まった国の遺伝子組換え表示制度では、9作物(大豆やトウモロコシ、ナタネ、ジャガイモなど)とそれらを原料にした33加工食品群(豆腐、納豆、ポップコーンなど)を対象に、組み換え原料を使った場合は「組み換え」と表示するよう義務づけ、組み換え原料を使っていない場合は、任意で「組み換えではない」と表示できるようにした。


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