2024年11月21日(木)

食の「危険」情報の真実

2023年1月16日

 世界で初めて市場で流通していたゲノム編集トマト「シシリアンルージュハイギャバトマト」が機能性表示食品として2022年11月に消費者庁に受理された。これで「血圧の上昇を抑える」といった効果を明確に表示できる。これに象徴されるようにゲノム編集食品の新たな機能性が注目され始めた。さらに遺伝子組み換え(GM)作物についても、疾患の予防やSDGs(持続可能な発展目標)に貢献するといった新たな価値が再評価されそうなターニングポイントを迎えている。

「ストレス・緊張の緩和」などの機能が消費者庁に報告されたゲノム編集トマト(筆者撮影)

ゲノム編集トマトでリラックスや睡眠、肌の質向上

 21年秋、血圧上昇を抑える成分(ガンマアミノ酪酸=ギャバ=GABA)を多く含む「高GABAトマト」(製品名・シシリアンルージュハイギャバ)が一般向けに販売された。ゲノム編集技術で生まれた世界初のトマトである。

 ゲノム編集とは、狙った遺伝子の配列を効率よく書き換え、新しい形質を生み出す技術だ。外部の生物から遺伝子を導入する遺伝子組み換えとは違う。

 このトマトは1~2粒食べるだけで血圧上昇の抑制効果が期待できる。当初は価格が高めだったが、22年7月から、2割程度引き下げられ、2キログラムあたり3726円(税込み、送料別)とお手頃になった。

 同トマトを開発した江面浩・筑波大学教授(ベンチャー企業のサナテックシード社取締役最高技術責任者)は「高血圧に悩む人は世界中に10億人以上いる。毎日、少し食べるだけでみなが健康になる世界を夢見て開発した」と語る。

 機能性表示食品の詳細を紹介する消費者庁のホームページでは、このトマトに「ストレス・緊張の緩和」「睡眠の質の向上」「血圧のサポート」「肌の弾力」の4つの機能があることが報告されている。高GABAトマトの効果が血圧上昇の抑制やリラックスだけでなく、良質な睡眠や肌の質向上が期待されることを意味する。

 こうしたゲノム編集食品の開発で日本は世界のトップを走る。肉厚の大きなタイ、成長が速いトラフグ、毒のないジャガイモ、収量の高いイネなど、消費者にとって魅力的な食品も含まれている。


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