2026年10月21日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月21日

ウクライナの司令官は、「空母」の役割を果たす海上ドローン「カトラン」の甲板に多数の迎撃用ドローンを搭載し、それらを使ってロシアが洋上に設置したアンテナを破壊、操作していたロシア兵を殺傷した。レーダーが無力化されたことで、別の海上ドローンが防衛網をすり抜け、ロシアの港を攻撃したのである。

 こうしたシステムは、空・海・陸のロボットを様々な組み合わせで運用し、新たな脅威に絶えず適応させていく必要がある。ウクライナの技術開発における次の段階は、海上ドローンに長距離の重火器を搭載することになるという。

 ウクライナの指揮官たちは、ドローン戦の鍵となるのは兵器そのものではなく、状況に素早く適応できるチームだと考えている。ある指揮官は、「最も重要なのは技術ではない。重要なのは『人』だ」と述べている。

*   *   *

日本から見た海軍ドローンの利点

 ウクライナ戦争は陸上戦闘が中心であり、よって開発・製造されるドローンの大半は地上戦を戦うことを想定したスペックとなっている。また、ウクライナのドローン生産の90%以上は空中ドローン、次が陸上ドローンで5%前後、水上・水中ドローンは1%程度で、全体の中ではまだごくわずかである。

 これに対し、わが国が対応すべき対象は海・空戦闘が中心となるので、ウクライナにおける経験は、現代戦の戦い方を知るという意味では重要な意義があるが、わが国周辺の状況にそのまま適用することはできない。

 ところが、本年夏以降、ロシア軍は黒海沿岸の港湾等に対する攻撃を再び激化させ、これによって黒海を通航する「穀物回廊」が危機に瀕し、ウクライナは海上戦闘能力を再構築する必要に迫られるに至った。その一環として、ウクライナは海上戦闘に使用するためのドローン開発にこれまで以上に力を入れており、わが国にとっても参考となるケースが増えている。

 以下に、わが国から見た、ウクライナにおける海軍ドローンの利点を整理しておきたい。

 海軍用ドローンに限らず、ウクライナのドローン開発の利点の第一は、「大量・廉価で迅速・多様性」の三拍子が揃っていることだ。すなわち、戦闘の在り方に即したタイプのドローンを必要な時に必要な数、廉価で迅速に調達しやすい。こうしたウクライナのドローンの特徴は、戦車、装甲車などのプラットフォームを中心とする戦闘から、無人機を中心とする戦闘にマッチしたものだ。

 次に、ウクライナの海軍用ドローン自体の利点について。まず、海洋で使用するドローンには、敵艦船の攻撃、クリミア大橋など橋梁の攻撃、海底インフラ(海底ケーブルやパイプラインなど)の防護、機雷除去など、様々な使い道があるが、ウクライナによる最近の運用で、わが国にとっても大いに参考になると思われるものに、次のような例がある。


新着記事

»もっと見る