汚職による粛清で軍の内部の重要ポストに多くの空席があるのは事実だが、その一方で、人民解放軍は南シナ海からの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射訓練に成功し、25年末から本年初に遡れば、2回にわたって約2000隻の武装漁船を400キロメートル(km)に渡って直線に整列させる、というオペレーションを成功裏に実施している。要は、船頭は習近平一人で十分なのだ。
一方、27年は共産党大会で習近平後継問題が取り上げられ得る。内政的に極めてセンシティブな年であり、そのような年に成否が不明瞭な台湾再統一オペレーションに打って出るだけの余裕は習近平政権にもない。
ただ、28年になれば別である。1月の台湾総統選挙で頼清徳が再選され、現状を半歩進めるような演説でもしようものなら、習近平はこれに反応しなければ(27年秋の党大会を乗り切っていたとしても)交代論が再燃しかねない。
さらに都合が良い(悪い)ことに、28年1月から米国大統領選挙の予備選プロセスが始まり、米国政府の関心は否が応でも内向きになる。この千載一遇のチャンスを活用しようとする誘惑が働いてもおかしくはない。
日本が2027年にすべきこと
27年を一言で言えば、「先鋭化するトランプと慎重になる習近平」ではないだろうか。来年日米他がやるべきことは、まず、一方では、できるだけ早めに米国から台湾への武器供与を行い、同時に、台湾(頼清徳)に対して、再選後の言動に慎重を期すようくぎを刺し、他方では、「慎重になる」習近平に対して、台湾再統一を仕掛けることのリスクを十分認識させるべく働きかけることだろう。
後者との関係では、日中のトップレベルでコミュニケーションが正常化していることが必須であり、同時に、欧州諸国に対しても、ワンボイスで中国に働きかけるように依頼することが必要になる。このような一連の微妙な匙加減を必要とする外交的「アヒルの水かき」を、先鋭化したトランプ政権に可能なのか? 大いに疑問と言わざるを得ない。
