2026年10月21日(水)

World Energy Watch

2026年10月21日

信頼を失うトランプ大統領

 筆者は今、米国を訪問しており、面談した共和党系のシンクタンクの研究者にトランプ大統領のエネルギー政策とロシアからのディーゼル油輸入に関する意見を求めた。回答は次だ。

 「24年の選挙期間中、トランプ大統領は中東で意味のない戦争には関与しない、エネルギー安全保障を強化すると言っていた。今や、エネルギー問題について有権者の信頼を失った。イランへの侵略は、長年のトランプ大統領の支持者を裏切られたとの気持ちに追いやったのではないか。

 もっと大きな問題は、ガソリン、ディーゼル油の値上がりだ。ディーゼル油は輸送費を通し物価に影響を与え、ガソリン、肥料価格は生活、食品価格に影響を与えた。戦争が終結しても、価格は思ったほどには下がらず、24年のレベルには戻らない可能性がある。

 ロシアからの輸入についても、多くの有権者が、エネルギーと安全保障問題に関しトランプ大統領にマイナスのイメージを持つことになったのではないか。米国民は強くウクライナを支援しているわけではないが、ウクライナ側に立つ人が多いだろう」

 カリフォルニア州在住の日本人の研究者は、「ガソリンへの支払いがイランとの戦争開始前の週50ドル程度から今は75ドルになり、生活への影響を感じる。カリフォルニアは元々ガソリン価格が高いので上昇率は相対的に低いが、ガソリン価格が安かった地域の上昇率はさらに高くなり、住民の体感価格への影響は大きい」と述べていた。

 地域ごとのガソリン価格の上昇は、図-1の通りだ。1月から西海岸のガソリン価格は約1.5倍になったが、ロッキー山脈地区では1.8倍、ガルフ地区では1.6倍の上昇率になっている。

トランプ大統領が繰り出す悪手

 輸入されるディーゼル油の半分以上を米国に依存している欧州諸国を、輸入禁止で脅し、主要7カ国による1億バレルの石油の放出を実現させた。

 しかし、米国内の製油所の位置の関係から米国産ディーゼル油の輸出量が減少しても、国内のディーゼル油価格への影響はほとんどなかった。

 10月7日に、道路外で利用される農業用、建築機械用に認められている赤ディーゼル油(連邦政府税が免除されるため道路上での使用を防ぐため赤色に着色されているディーゼル油)を道路上でも使用することを認める政策を打ち出したが、税額が1ガロン当たり24.4セントと小さいこともあり、また州法との関係もあり影響はほとんどなかった。


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