ルコルニュ首相は、さらなる混乱を防ぐために地方の夜間外出禁止令を呼びかけ、非常事態宣言の可能性も排除していない。政府が、高校生の抗議活動に端を発し、より広範な社会不安へと拡大する兆しを見せているこの事態を収拾できない理由の一つは、問題解決のために投入できる資金がないことだ。安易に資金を投じて事態を収拾しようとすれば、国債の売りと調達コストの上昇という逆効果を生む恐れがある。
大統領選挙まであと6カ月に迫る中、ここ数週間の抗議活動と暴力的な衝突は、フランスにおける政治的な両極端の勢力を勢いづかせ、他方で中道勢力を弱体化させている。極右指導者マリーヌ・ル・ペンにとって、政府が統治能力を失いつつあるという現状は、まさに「贈り物」だ。
彼女の政党は、今回の暴力沙汰の責任を移民に押し付け、現政権が「活力を失い、疲弊し、方向感覚を見失っている」という彼女の批判を否定することは難しい。一方、極左の指導者ジャン=リュック・メランションは抗議活動を奨励し、それを利用して「反体制派」候補としての自身の魅力を高めてきた。しかし、暴動は、上昇傾向にあった彼の支持率に水を差す可能性がある。
中道派の筆頭であるエドゥアール・フィリップは、求心力を欠く現政権との関わりからイメージを損ない、新たな方向性を打ち出すのに苦慮している。実際、広範にわたる不満と、いつ爆発してもおかしくない緊迫した状況は、フランスが抱える社会問題の深刻さを浮き彫りにした。残念ながら、候補者の誰一人として、こうした問題を真に解決するために何をすべきか判っていない様だ。
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さらなる悪循環へ
今般のフランスの暴動は、教育環境の改善を求める学生や生活費の高騰に怒る市民の抗議活動に、極左過激派や犯罪集団が便乗することにより暴力化し、政府対応の不手際もあって、政権の機能不全を象徴する事態となった。
この事件が来年の大統領選挙において、秩序の維持と移民政策の厳格化を主張する国民連合のル・ペンに有利に働き、抗議運動を奨励していた極左のメランションには不利に働く可能性がある。問題は、この社説が最後に指摘しているように、いずれの候補者もフランスが直面している深刻な社会問題を解決する術を得ていないとの悲観的な現実である。
