2026年11月3日(火)

巨大災害時代を生き抜く

2026年11月3日

 最後の地震体験は、マットの上で頭を守って丸まる〝ダンゴムシの姿勢〟を取って待機するところから始まった。地震速報のアラームが鳴ったその瞬間、体が浮きそうになるほどの衝撃に突き上げられる。激しい縦揺れに、思わずマットにしがみつく。スクリーンには、薄暗闇のなかで家屋が次々と崩れ落ちる映像が映っている。阪神・淡路大震災を再現した揺れだった。このほか、同じ震度7級だった2016年の熊本地震や、1923年の関東大震災の揺れも疑似体験した。

災害時に生き抜くために

 これらの大規模地震から、命を守るにはどうしたらいいのか──。家具はできる限り固定しなくては。すばやく避難できるよう、外出先でも常に非常口マークを確認した方がいい。そうして考えを巡らせていると、前出の北村さんが同館の特徴を説明してくれた際に言っていた言葉が頭をよぎった。

〝体験こそ最高の知識〟──。

 「火災時には姿勢を低くする」といった避難知識も、疑似体験することで、より深く身につく。頭で理解するだけでなく、体験を通じた「実感」こそが、災害時の瞬時の判断につながり、その結果として命を守る行動にもつながる。実践的な防災力を養う場として、同館の意義は極めて大きい。

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Wedge 2026年11月号より
ニヒリズムを超えて 巨大災害時代を生き抜く
ニヒリズムを超えて 巨大災害時代を生き抜く

東日本大震災から15年の月日が流れた2026年。7月には令和8年熊本地震が発生し、千葉県では複数回にわたって浸水被害が起きた。日本において自然災害の危険性は尽きないどころか、甚大な被害をもたらす都市型水害など新たな脅威にも向き合っていかなければならない時代になった。巨大災害を前にして人間は無力である。だからといって、ただ茫然自失として待つだけでよいのか。事前の備えに100%はない。それでも、自分たちができる最善の対策を行い、諦めることなく「減災」の思考を持ち続けるべきだろう。巨大災害時代を生き抜くために変えるべきこと、守るべきことを改めて考えたい。


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