25年度決算こそ、約1億円の黒字を計上したものの、昨年末に発表した今年度(1月1日から12月31日)の予算案ではなんと約31億円にものぼる赤字予算を予想している。「今回のW杯が3カ国共催(米国、メキシコ、カナダ)による移動、輸送コストの増加」(JFA幹部)がその理由という。
新たな収益源を模索する必要があり、それにはキラーコンテンツである「サッカー日本代表」しかなかった。
チケット収入を4倍超に
宮本会長はまず、国内代表戦にギアをいれた。代表関連収益は24年度の27.8億円から、翌25年度には51億円と大幅に増加させた。森保ジャパンという代表戦のソフトが変わらない中でメスをいれたのはチケット代だった。
23年2月からダイナミックプライシング(価格変動制)を導入。需要と供給にあわせて、リアルタイムでチケット価格を変動させた。試合会場も国立競技場や日産スタジアムなど収容人員が多いスタジアムを軸に日程を組んでいった。
価格変動制を導入する前のピッチに近いメーンスタンドおよびバックスタンド前方「カテゴリー1」のチケットは1枚・8900円だったが、今年は1万6400円を売り出し価格にした。ファンサポーターが大挙してつめかけるゴール裏のチケットも3200円から7400円と、この4年間で物価高以上の強気の値上げ路線を展開している。
W杯北中米大会直前のアイスランド戦(5月31日・国立競技場)では、1万6400円でスタートしたカテゴリー1のチケット価格が、最も高い設定で4万200円になったが完売した。JFAでは国内代表戦のカテゴリー1のチケットで子供料金の設定はない。
森保ジャパンがW杯後に行った国内4連戦では2試合で観客動員6万人を突破し、4試合で19万8776人を動員した。チケット単価を1枚8000円としても1試合約3億9700万円のチケット収入を得たことになる。これまで国内代表戦でのチケット収入は1試合1億円台だったので、4倍近くとなる計算が成り立つ。
国内代表戦を行えば、地上波TVの放映権や配信権を筆頭にスポンサー収入など得られる。JFAは代表戦の収益を伸ばすことに成功している。
安くはない「開催費用」
ただ、国内代表戦大きな収入を得られる反面、支出も大きい。日本に招聘した相手代表チームの移動費や宿泊費など経費は全てJFAが負担する。日本代表の海外組の選手たちについても、日本に呼び戻す航空便の手配は毎回至難の業で、定期便が飛んでいない地域での試合もあり、ヘリコプターやチャーター便も利用することもある。監督以外が全員ビジネスクラス以上をいう規定もあるだけに日本代表選手の航空代だけで総額1億5000円もの費用が毎回かかる。
招聘国への出場料も年々相場が急騰している。ブラジル代表など世界トップクラスの強豪国となれば、3億円近く要求される時代になった。
そこで、JFAが試みる新たなビジネスモデルが、海外で代表選を開催させることだった。「呼ぶ費用」をなくし、「呼ばれる収入」を得るやり方である。
